都市型浸水対策にも全力 今秋の9月30日から10月10日までの11日間に亘っていよいよ繰り広げられる 「のじぎく兵庫国体」。「?ありがとう?心から・ひょうごから」をスローガ ンとして掲げ、阪神・淡路大震災からの真の復興を成し遂げつつある兵庫の元 気な姿を全国にアピールしていく。広大で多彩な県土を有する兵庫県下のすべ ての市町を会場として繰り広げられる国民スポーツの祭典。それらの会場への アクセスの1つとなる春日和田山道路については、昨春に春日ICから氷上I C間(6.9?)が開通したのに引き続いて、残りの氷上ICから和田山JC T・IC間(24.8?)の区間についても7月22日に供用を開始した。
※写真:武庫川下流浄化センターでは12分の3系水処理高度処理改築工事を推進している。 これにより、大都市から農山漁村まで、日本海から太平洋までの多彩で広大な県土を有する兵庫県の高速交通 ネットワークの形成は、一歩前進したが、美しい自然環境を守り、安全・安心・快適なまちづくりを進める上 において不可欠な下水道整備についても弾みがついている。 豊かさを実感できる生活環境づくり、浸水のない安全で安心なまちづくりならびに健全な水環境・良好な水環 境の創造を目指して下水道整備を計画的に推進している兵庫県の2005年度末現在における下水道普及率は、全 国第3位の89.1%。今後は、市域に比べて普及率が低い町域での普及拡大に努めていく。 また、下水道普及率の向上に伴って、下水道施設のストックや処理水が増大していく中、持続的発展が可能な 循環型社会を形成していくため、下水道施設の適切な維持管理や汚泥処理の広域的な取り組みなど、安定的か つ効率的な事業展開を図るとともに、下水道資源・施設の有効利用にも力を注ぎ、地球規模の環境問題に対応 していく。 一方、下水道の主要な役割の1つである雨水排水については、都市浸水対策率が2005年度末現在において全国 第七位の62.1%に達している。 しかし、雨水については、都市化の進展などによる流出量の増大に加え、近年において多発傾向にある集中豪 雨への対応といった観点から、従来の排除中心の浸水対策から、浸透・貯留による流出抑制を目指した都市型 浸水対策の確立を急ぐ必要に迫られている。 また、尼崎市など、阪神間や播磨南部地域の都市部では、早期の浸水防除を目的に合流式で整備されているこ とから、雨天時における公共用水域への越流等による汚濁負荷についても、快適な都市・居住空間の確保のた めに、その改善が求められている。 ■猪名川流域下水道事業 兵庫県と大阪府の共同事業として実施している猪名川流域下水道事業の対象となるのは、兵庫県側が伊丹市、 尼崎市、宝塚市、川西市、猪名川町、大阪府側が豊中市、池田市、箕面市、豊能町。全体計画は、計画処理面 積が1万2、107ha(うち兵庫県側6,637ha)、計画人口が81万3,100人(同36万1,500人)、計画処理水量が54 万6,200立方m(同26万1,450立方m/日)となっている。 終末処理場の現在における処理能力は、?系、?系ならびに?系の16分の8系列(39万3,050立方m/日)。 また、猪名川および大阪湾の水質浄化を目的に、窒素、リンの除去を対象とする高度処理施設の建設を今年度 も推進している。なお、五幹線からなる幹線管渠(総延長34.1?)については、1992年度に全線が完成してい る。 ■武庫川上流流域下水道 阪神間におけるベッドタウンとして開発が急ピッチで進められた北摂・北神地域の生活環境の向上と、武庫川 の水質保全を目的として1978年度に事業に着手した武庫川上流流域下水道。対象となるのは、神戸市、西宮 市、三田市で、全体計画は、処理面積が6,995ha、処理人口が26万4,800人、処理水量が19万5,000立方m/日 となっている。 神戸市北区道場町に設けられている終末処理場は、1985年5月から24分の1系列での供用を開始。現在におけ る処理能力は、12分の6系列(10万立方m/日)に達している。 また、同処理場では、放流先河川の下流に上水道の取水口があることに考慮して、供用開始当初から処理水全 量を砂ろ過処理してきたが、1990年度からは、窒素除去を目的として循環式硝化脱窒法への改造および増設を 進め、1999年10月に全施設への対応が完了した。なお、幹線管渠(総延長16.3?)は、1985年度に全線が完成 している。 ■武庫川下流流域下水道 武庫川下流流域下水道の対象となるのは、阪神間の尼崎市、西宮市、伊丹市、宝塚市の四市。全体計画は、処 理面積が6,650ha、処理人口が62万2,800人、処理水量が42万5,700立方m/日で、1969年度に事業に着手し た。 10分の2系列での供用を1976年度に開始した終末処理場は、尼崎市平左衛門町に設けられており、現在では、 10分の8系列(37万4,000立方m/日)の処理能力を有している。また、放流先である大阪湾の水質保全を目 的とする高度処理方式への改造に昨年度から着手した。 一方、同流域下水道では、1部に合流式を採用しているため、雨天時越流水や都市型集中豪雨等の雨水対策が 急務となっていたことから、昨年度から合流改善事業にも取り組んでいる。なお、8幹線からなる幹線管渠 (総延長33.8?)については、1998年7月に全線が完成している。 ■加古川上流流域下水道 1976年度に事業に着手した加古川上流流域下水道事業の対象となるのは、加古川中流域の神戸市、西脇市、三 木市、小野市、加西市、加東市で、全体計画は、処理面積1万7,190ha、処理人口35万3,900人、処理水量25万 4,500立方m/日となっている。 水処理施設の36分の一系列での供用を1990年6月から開始した終末処理場は、小野市黍田町に設けられてお り、現在では、18分の8系列(10万3,250立方m/日)の処理能力を有している。 一方、同流域下水道では、放流先河川である加古川が下流都市の水道水源となっているため、供用開始当初か ら処理水全量を砂ろ過してきたが、1998年度からは窒素除去を目的とした高度処理への改造および増設を進 め、2002年度に全施設への対応が完了した。なお、四幹線からなる幹線管渠(46.3?)については、2004年度 末に加西幹線延伸箇所 の施工が完了したのに伴って全線が完成した。 ■加古川下流流域下水道 加古川市、高砂市、稲美町、播磨町の2市2町を対象として1987年度に事業に着手したもので、全体計画は、 処理面積が9,215ha、処理人口が41万3,300人、処理水量が28万1,600立方m/日となっている。 終末処理場の現在における処理能力は、?系および?系の16分の六系列(13万8,250立方m/日)。また、 1993年度に統合した公共下水道尾上処理場の施設については、1998年度から水処理施設主要部分の改築・更新 を順次進め、概ね完了するに至った。なお、4幹線からなる幹線管渠(総延長28.4?)については、1997年度 に1部2条管を除いて全線が完成している。 ■揖保川流域下水道 1978年度に現在の姫路市、たつの市、宍粟市、太子町を対象として事業に着手したもので、全体計画は、処理 面積9,230ha、処理人口20万4,900人、処理水量19万6,600立方m/日。1級河川揖保川の中・下流域には、地 場産業である皮革工場が多数立地しており、この排水による流域内河川の汚濁が著しく進行していたため、水 質の改善が緊急の課題となり、この対策も兼ねて揖保川流域下水道が計画された。 懸案となっていた皮革排水については、1994年6月にすべての処理場との接続が実現したことにより、揖保川 の水質は飛躍的に改善された。 終末処理場は、現在、内陸部のA系と、沖合部のB系10分の2系列(9万7,000立方m/日)の処理能力を有 している。また、水処理方式として、A系では高濃度の汚水を処理するため、酸素活性汚泥法を採用。さら に、1998年10月の窒素濃度にかかる一律排水基準の適用に対応するため、担体を利用した窒素除去系列(B 系)の供用を開始した。 このほか、関連市町からの流入量の増加に対応するために推進しているB系10分の3系列の水処理施設増設工 事についても順調に進捗している。なお、六幹線からなる幹線管渠(総延長59.7?)の敷設は、2001年度に1 部2条管を除いて全線が完成している。