

府民に身近な「水みらいセンター」 「豊かで安心して暮らせるまちづくりと持続発展可能な循環型社会の創出」を 基本理念とする「21世紀の大阪府下水道整備基本計画(ローズプラン)」に基 づきながら、下水道整備を計画的に推進している大阪府。昨年に40周年を迎え た流域下水道事業には、猪名川、安威川、寝屋川、淀川右岸、同左岸、大和川 下流、南大阪湾岸の七流域(12処理区)があり、計画的に事業を進めている。 また、今年の4月1日からは、流域下水処理場の名称が「水みらいセンター」 に変更され、府民からこれまで以上に親しまれる身近な施設となった。 一方、公共下水道については、流域下水道との連携を強めながら着実に事業を 展開。この結果、2001年度末には府内43の全市町村での供用開始が全国で初め て実現した。 こうした取り組みにより、2005年度末現在における大阪府全体の普及率は 90.8%に達し、前年度と比べて0.7ポイント上昇。しかし、大阪市を除くとこ の数字は87.0%にまでレベルダウンするとともに、南大阪地域の普及率も 77.8%にとどまっている。 このため、大阪府では、均衡ある下水道整備の促 進に一層努めるとともに、下水道がまちづくりに貢献するばかりでなく、広く 地球環境にも寄与する取り組みを推進。このうち、リサイクルの分野において は、2005年度末現在で、全処理水の18%および全汚泥量の34%を有効利用して おり、下水熱エネルギーについても積極的な活用を目指していく。
※写真上:狭山水みらいセンター ※写真下:建設が進む竜華水みらいセンター ■猪名川流域下水道 1966年度に大阪府の豊中市、池田市、箕面市、兵庫県の伊丹市、尼崎市、川西市による広域下水道としてスタ ートしたもので、1967年度からは大阪府と兵庫県が事業主体となって府県共同で事業を実施。また、1971年に は大阪府の豊能町、兵庫県の宝塚市、猪名川町が計画区域として新たに編入された。 猪名川の水質汚濁防止を目的とする猪名川流域下水道の計画概要は、処理面積5,470ha処理人口45万1,600人、 計画処理水量28万4,850立方m/日(大阪府側のみ)で、終末処理場となる「原田水みらいセンター」は、大 阪府豊中市原田西町および兵庫県伊丹市岩屋・尼崎市田能に位置している。 1966昭和年4月から供用を開始した同センターの現在における処理能力は、37万4,280立方m/日で、このう ちの19万5,150立方m/日を大阪府側が占めている。なお、大阪府側の幹線管渠(総延長41.7?)は、平成1 2年度末にすべての敷設が完了した。 ■安威川流域下水道 全国の流域下水道のトップを切って1970昭年に日量4万立方mでの通水を果たした安威川流域下水道。その対 象となるのは、茨木市、箕面市、吹田市、高槻市、摂津市、豊中市の北摂六市で、計画概要は、処理面積 8,291ha、処理人口57万100人、処理水量45万7,400立方m/日となっている。 2004年春に待望のまちびらきを迎えた「彩都(国際文化都市公園)」は、茨木・箕面両市にまたがる北部丘陵 で開発が進められている複合多機能都市で、現在も来年の3月19日に開業予定のモノレール延伸工事(阪大病 院前〜彩都西駅間4・2?)をはじめとする社会基盤整備が進められているが、下水道整備についても街の発 展に歩調を合わせながら計画的に推進しており、その中枢を担う「中央水みらいセンター」の処理能力は、現 在、27万6100立方m/日に達している。なお、幹線管渠の敷設については、2005年度末までに総延長54.5? のうち、53.7?が完成している。 ■淀川右岸流域下水道 淀川右岸流域下水道は、高槻市、茨木市および島本町の一部を対象とするもので、全体計画は、処理面積 5,017ha、処理人口42万6,100人、処理水量33万6,900立方m/日。終末処理を行っている「高槻水みらいセン ター」は、当初、高槻市公共下水道としてスタートし、1969年8月から汚水処理を開始した。 1970年度からは、従来の施設を大阪府が継承する形で事業に着手。以来、増設工事を順次重ねていき2005年度 末現在における同センターの処理能力は17万5,400立方m/日に達している。なお、幹線管渠の敷設について は、総延長36.7?のうち、2005年度末までに34.2?に達している。 ■淀川左岸流域下水道 1971年12月に枚方市と交野市にまたがる5、882haを対象として都市計画決定したもので、計画処理人口は45 万1,400人、計画処理水量は31万8,600立方m/日となっている。 平成元年に七流域の掉尾を飾って16分の一系列(日量3万2,600立方m)での供用を開始した「渚水みらい センター」の現在における処理能力は14万2,600立方m/日。また、同センターでは、処理水の放流先につい て、淀川への影響を考慮し、石津中継ポンプ場を経由し、寝屋川へと放流している。なお、幹線管渠の敷設に ついては、総延長21・6?のうち、2005年度末までに19.3?が完成している。 ■寝屋川流域下水道事業 <鴻池処理区> 地理的条件によって、北部流域(鴻池処理区)と南部流域(川俣処理区)に分けて事業を推進している寝屋川 流域下水道事業。このうち、鴻池処理区の対象となるのは、大阪、守口、門真、寝屋川、枚方、東大阪、大 東、四條畷、交野の9市で、計画概要は、処理面積6,725ha、処理人口75万人、処理水量42万6,300立方m/日 となっている。 1972年に供用を開始した「鴻池水みらいセンター」の現在における処理能力は33万1,000立方m/日。また、 1994年度には同センターの補完施設として「なわて水みらいセンター」を新たに都市計画決定し、現在は水処 理施設の土木工事を推進している。なお、幹線管渠(総延長56.5?)の敷設については、増補管・直送管を除 いてすべて完成している。
<川俣処理区> 浸水対策と水質保全を目的として1966年度に事業に着手し、1972年から供用を開始したもので、計画区域は大 阪市、東大阪市、八尾市、大東市、柏原市、藤井寺市の六市。計画概要は、処理面積が8,917ha、処理人口が 85万4,000人、処理水量が49万4,500立方m/日となっており、中枢を担う「川俣水みらいセンター」は、現 在、38万立方m/日の処理能力を有している。 北部流域と同様に、下水排除方式については合流区域と分流区域に分かれており、合流式の区域は「川俣水み らいセンター」、分流式の区域は1996年度に同センターの補完施設として新たに都市計画決定し、現在、建設 を進めている「竜華水みらいセンター」で汚水処理を実施することにしている。 一方、両処理区においては、寝屋川流域都市水防計画に基づき、下水道の雨水排水能力のレベルアップにも取 り組んでおり、増補幹線管渠(鴻池処理区約34・7?、川俣処理区約36.9?)などのうち、門真寝屋川二増補 幹線の一部と、これに接続する中央二増補幹線が完成。また、2004年度には大東二増補幹線の一部を貯留施設 として暫定供用した。 ■大和川下流流域下水道 <今池処理区> 1967年に堺市の公共下水道としてスタートした大和川下流流域下水道西部(今池)処理区。その対象となるの は、大阪市、堺市、富田林市、松原市、羽曳野市、藤井寺市、八尾市、大阪狭山市の八市で、計画概要は、処 理面積が6,256ha、処理人口が46万1,700人、処理水量が32万3,400立方m/日となっている。 第1期施設(日量4万立方m)の供用を昭和60年6月から開始した「今池水みらいセンター」の現在における 処理能力は、10万立方m/日に達しており、同処理区の中枢を担っている。なお、51・3?におよぶ幹線管渠 の敷設は、平成17年度末までに48.3?が完成している。
<大井処理区> 1974年度から事業に着手した東部(大井)処理区は、富田林市、柏原市、羽曳野市、藤井寺市、八尾市、堺 市、河南町、太子町、千早赤阪村を対象とするもので、計画概要は、処理面積7、403ha、処理人口28万7,800 人、処理水量21万2,400立方m/日。中核施設となる「大井水みらいセンター」の第1期建設工事には、平成 3年10月に着手した。 2万5,000立方m/日の増設工事が平成16年度末に完成したことにより、同センターの現在における処理能力 は、7万5,000立方m/日に達しており、順調に供用を続けている。なお、平成17年度末現在までに、54・7? におよぶ幹線管渠の敷設は、49.4?が完成している。
<狭山処理区> 富田林市ならびに大阪狭山市(旧狭山町)の公共下水道としてスタートし、1967年に日量1万立方mでの供用 を開始した南部(狭山)処理区。この後、大和川下流流域下水道計画に統合され、現在へと至っている。 富田林市、河内長野市、大阪狭山市の3市を対象とする同処理区の計画概要は、処理面積5、256ha、処理人 口24万7,500人、処理水量15万3,000立方m/日。中枢を担う「狭山水みらいセンター」の現在における処理能 力は、7万750立方m/日に達している。なお、昭和60年から敷設工事を本格化させた幹線管渠の総延長は 26.5?で、2005度末現在までに26・0?が完成している。 ■南大阪湾岸流域下水道 <北部処理区> 堺市、泉大津市、和泉市、高石市、岸和田市、貝塚市、忠岡町の六市一町にまたがる1万2,625haを対象とす る北部処理区の計画処理人口は55万800人で、計画処理水量は41万5,300立方m/日となっている。 「北部水みらいセンター」の現在における処理能力は、15万7,000立方m/日。1987年に供用を開始して以 来、快適で健全な生活環境の創造に寄与している。なお、2005年度末現在における幹線管渠の敷設は、総延長 55・7?のうち、54・1?が完成している。 <中部処理区> 中部処理区の対象となるのは、岸和田市、貝塚市、泉佐野市、泉南市、熊取町、田尻町の四市二町で、計画概 要は、処理面積6,743ha、処理人口26万6,400人、処理水量21万5,800立方m/日となっている。 1989年4月から供用を開始した「中部水みらいセンター」の現在における処理能力は、5万6,400立方m/ 日。なお、幹線管渠の敷設については、総延長28?のうち、26・9?が完成している。 <南部処理区> 泉南市、泉佐野市、阪南市、岬町の三市一町にまたがる4,284haを計画区域として事業を進めている南部処理 区の計画処理人口は16万8,000人、計画処理水量は13万2,400立方m/日となっている。 中枢を担う「南部水みらいセンター」は、1993年5月に供用を開始。現在における処理能力は2万5,400立方 m/日に達している。なお、総延長が24・0?におよぶ幹線管渠の敷設は、平成15年度末までに全線が完成し た。