ミナミの新しいランドマーク シネマコンプレックスと「マルイ」で構成 映画発祥の地に大阪の新しいランドマークが誕生ー。東宝?が、旧東宝南街会 館などの跡地(大阪市中央区難波3丁目)に建設を進めていた「東宝南街ビ ル」が竣工し、22日にグランドオープンを迎えた。大阪市内最大級の9スクリ ーン1960席を擁するTOHOシネマズのシネマコンプレックスと、関西では神 戸に次いで二店舗となる「マルイ」とで構成される複合ビルで、構造規模は S・SRC造地下二階地上12階建て、延べ床面積3万5,954.84?。大阪を代 表する繁華街「ミナミ」の新しい顔にふさわしいシンボリックな外観を誇り、 賑わいを発信していく。一方、設計・施工を担当した?竹中工務店では、典型 的な都市型工事に起因するネックを克服しながら生産性の効率を高めるための 様々な工法を採用して工期の圧縮に努め、顧客ニーズに応える高品質施工を工 期内に達成した。 ※写真上:グランドオープンを迎えた東宝南街ビルの南西面 ※写真下:プレミアラウンジ
〜視認性の高いシンボリックな外観〜 計画地は大阪市の都心部に位置し、大阪の代表的な繁華街である「ミナミ」の難波エリアに属します。このエ リアは、南海、近鉄、JR、地下鉄御堂筋線、千日前線、四つ橋線の難波駅の集中する交通拠点であると同時 に、百貨店、商業ビル、文化芸能施設、宿泊施設などが集積し、さらには近年、湊町エリアや大阪球場跡地に 商業・業務施設が開発され、新たな街の広がりをみせている地域です。 歴史的には、1897年2月に「南地演舞場」という劇場で、日本で初めて映画が上映された映画興行発祥地の地 であり、1938年には「南街映画劇場」という映画専門館が完成しました。この劇場は、戦災で焼失しました が、1953年12月には複合映画館ビルとして「南街会館」が誕生し、2004年2月まで50年間に亘り非常に多くの 方々に親しまれてきました。 100年以上の歴史がある、いわば映画の聖地ともいえる場所です。東宝南街ビルは、このような立地と歴史性 を背景に、大阪市内最大級の九スクリーン1960席を擁したTOHOシネマズのシネマコンプレックスと、2003 年に神戸で関西への初進出を成し遂げた「マルイ」とで構成された複合ビルで、新しい「ミナミ」の起爆剤と して期待されています。 外観は、視認性の高いシンボリックな建物とするべく、店舗階の避難バルコニー全 体を町屋などの伝統的な日本建築を構成する要素である連子格子をイメージした竪型ルーバーで覆った計画と しています。ルーバーの角度は各階で15度ずつその角度を調整し、平面的にも、立面的にも、また天候や時間 の推移によっても、様々な表情の変化を見せるデザインを追求しています。このルーバーは、外壁からの熱負 荷の低減にも寄与しており、環境に配慮した設計となっています。 シネマ階はルーバーの形状と合わせた凹凸を持つアルミパネルで構成し、建物全体としての統一感を確保しな がらも、角度によっては店舗階と異なる表情を見せるデザインとしています。 平面計画は、全館避難安全検証法(Cルート)により、階段と避難バルコニーを合理的に配置することで、建 物としての安全性を高めると同時に、有効面積を最大限に確保しています。 また、地下1階レベルでは、地下鉄御堂筋線難波駅コンコースとの接続や、既存地下街との接続により、地下 空間の回遊性や快適性の向上を図っています。特に、御堂筋線難波駅コンコースとの接続においては、地下か ら歩道に上がる階段を建物内に取り込むことで、コンコースから建物への視界を大幅に開放し、さらには吹抜 けによって自然光を導くことで、かつては閉鎖的であった地下における環境を大きく改善しています。
【設計メモ:竹中工務店大阪本店 設計部 設計課長 野田隆史】 設計・施工 竹中工務店 〜顧客ニーズと要求品質を具現化〜 大阪を代表する繁華街「ミナミ」の難波エリアに属する映画発祥の地において、典型的な都市型工事に起因す る様々なネックを克服しながら生産性の効率を高めて厳しい工期への対応を図り、建築主から寄せられていた 絶大な信頼に応えた(株)竹中工務店。設計・施工の一貫体制によるメリットを最大限に引き出し、シンボリ ックな外観を誇る難波の新しいランドマークを高品質に完成させた。 工期率71.9%。標準工期は32カ月を要することから、30%近くの工期短縮を図らなければならないというシビ アな条件が課せられていた東宝南街ビル新築工事。このため、(株)竹中工務店では、逆打ち工法、TSP合 成地下壁工法、パイルド・ラフト基礎、無足場による外装施工の採用などによって施工効率を引き上げながら 安全第一に工事を推進。橋法雄所長をはじめとする有能なスタッフが総力を結集して顧客の要求品質とニー ズを満たすことに心血を注いでいった。 その工事は、2004年2月に東宝南街会館や東宝不動産ビルなど合計六棟の解体から着手。新築工事の着工は、 当初8月頃を予定していたが、テナントの退店が遅れたため、10月にずれ込み、工程の見直しを行った。 逆 打ち工法を採用し、地下と地上工事を同時に推進した新築工事においては、工期の短縮を図るための創意工夫 を凝らしたが、地下工事において工程の短縮などに寄与したのが建物外周部の本設杭を削減する竹中ソイルセ メントパイル(TSP)壁杭工法と、地下コンクリート外壁の壁厚と、掘削次数を低減する合成地下壁工法。 また、直接基礎と杭基礎が複合し、その両者で上部構造を支持するパイルド・ラフト基礎も効果を発揮した。 〜生産性の効率高め短工期克服〜 一方、地上工事では、無足場による外装施工を推進するとともに、これに伴ってバルコニー床PCa板化を採 用。こうした取り組みによって、生産性が大きく向上し、予定通りに上棟を果たした。 また、地下鉄御堂筋線難波駅コンコースとの接続や、既存地下街との接続工事を推進するに当たっては、リア ルタイム自動計測による管理を実施。このほか、Webカメラ監視システムの導入、無線LANによる最新情 報の共有など、現場と作業事務所との一体化を図って安全ならびに工程管理に最善の策を講じていた。 建築工事では稀な昼夜兼業で作業を進めた東宝南街ビル新築工事。これは、人通りの多い繁華街での工事に加 え、作業エリアに余裕がなかったことから資材の搬入は概ね夜間に行うこととしたからで、230トン吊りのタ ワークレーン2基を駆使して敷地の中央部に設けた仮設開口部を利用して取り込んだ。 作業の効率化と工程の合理化はもとより、産業廃棄物の発生の抑制に努めてゼロエミッションの目標値もクリ アした(株)竹中工務店。今年7月の最盛期には、1日当たり1,200人が従事した現場においては、安全大 会、安全衛生協議会を通じて安全意識の高揚を図り、最終的には123万時間におよぶ重大災害ゼロを達成し た。 橋法雄所長の話 注目度の高い大型商業施設の施工に携わることができたのは光栄なことで、常に緊張感を保ちながらスタッフ 一同と総力を結集して取り組みました。厳しい工期を克服し、顧客に喜んでいただける建物を期日までに竣工 させることができ、胸をなでおろしています。頑張ればできるということを実感できたこの工事は、一生の思 い出に残る仕事で、竹中マンであることを誇りに感じています。
