地域の活性化に寄与する自動車専用道路が待望の全線開通-。国土交通省が、「のじぎく兵庫国体」の開催までの開通を目指して建設を進めていた春日和田山道路の氷上IC〜和田山JCT・IC間(24.8?)が完成し、22日に供用を開始した。昨年4月に春日IC〜氷上IC間(6.9?)が開通したのに引き続いて、今回、同区間が開通したことにより、高規格幹線道路・北近畿豊岡自動車道(延長約70?)の一部として、近畿自動車道敦賀線、播但連絡道路などと接続し、兵庫県北西部の広域高速交通ネットワークを形成する春日和田山道路は待望の全線開通を果たし、豊かな観光資源を活かした地域の活性化が丹波・但馬地方にもたらされる。一方、今秋の9月30日から開催される兵庫国体会場へのアクセスの1つとなる春日和田山道路の施工を担当した精鋭各社では、環境保全に留意しながら万全の安全対策を講じて着実に工事を推進。高度な技術力が点を線へと結びつけ、北近畿豊岡自動車道のライン形成に対する確かな道標も残した。今秋の9月30日から10月10日まで、「?ありがとう?心から・ひょうごから」をスローガンとして掲げる「のじぎく兵庫国体」が兵庫県で開催される。阪神・淡路大震災からの復興の歩みの中で、内外から寄せられた温かい支援に対し、県民総参加による国体を開催することによって和歌山JTC・IC感謝の意を表すとともに、真の復興を成し遂げつつある兵庫の元気な姿を全国にアピールする国民スポーツの祭典で、「県民一人ひとりが創る国体」を目指している。兵庫国体のアクセスとしても機能前回の兵庫県での開催から実に半世紀ぶりとなる国体は、大都市から農山漁村まで、日本海から太平洋までの広大な県土を誇る兵庫県下のすべての市町を舞台として多彩な競技が行われるが、それらの会場へのアクセスの一つとなる一般国道483号北近畿豊岡自動車道「春日和田山道路」の氷上インターチェンジから、遠阪トンネル有料道路を経由して、和田山ジャンクション・インターチェンジに至る延長24.8?の区間が22日に開通。国体開催はもとより、本格的な夏のレジャーシーズンに先駆けて春日和田山道路が待望の全線開通を果たしたことにより、豊かな観光資源を活かした地域の活性化がもたらされる。丹波・但馬地域と阪神都市圏の連結強化恵まれた自然や伝統文化、地域条件を活用した農林業ならびに地場産業を中心として古くから発展を遂げてきた丹波・但馬地方。しかし、近年においては、京阪神都市圏から比較的近い距離にありながらも、交通条件や地形上の制約などの理由から、都市施設や生産・生活関連施設の立ち遅れ若年人口の流出といった問題を抱えるようになり、多様で魅力的な雇用機会の創出、都市機能の充実など、定住条件の向上を図ることが喫緊の課題となっていた。一方、活力ある地域づくりを支援していくためには、それぞれの地域特性を活かしながら、圏域を形成する市町村間相互の連携を強化し、実質的な集積規模の拡大を図ることが求められている。また、地域集積圏の安定と活性化を推進する上において重要なのは、圏域内の連携ばかりでなく、他の圏域との交流の機会を確保することで、地方圏においては、大都市との交流の強化と併せて地域集積圏相互の横の交流を強化する必要がある。所要時間の短縮、観光産業の活性化に寄与これを実現するために不可欠なのが質の高い交通ネットワークの整備で、春日和田山道路も丹波・但馬地方のこうした状況ならびに活力ある地域づくり支援、地域集積圏の安定と活性化の実現を踏まえて計画された。兵庫県豊岡市を起点とし、朝来市和田山町を経て丹波市春日町に至る延長約70?の高規格幹線道路で、兵庫県高速道六基幹軸の日本海太平洋軸を構成する北近畿豊岡自動車道の一部として国土交通省が建設を進めている春日和田山道路は、近畿自動車道敦賀線、播但連絡道路などと連結し、兵庫県北西部の広域交通ネットワークを形成するとともに、近畿自動車道と一体となって丹波地域と阪神地域の連結強化に寄与する自動車専用道路。春日和田山道路?(丹波市青垣町遠阪〜丹波市春日町野村間24.4?)と春日和田山道路?(朝来市和田山町市御堂〜朝来市山東町柴間7.3?)からなり、春日和田山道路?のうちの氷上インターチェンジ〜春日インターチェンジ間(6.9?)については昨春の4月17日に開通した。 これに引き続いて今回供用を開始した区間は、「のじぎく兵庫国体」の開催までの開通を目指して建設を進めていたもので、道路規格は第1種第3級、設計速度は毎時80?。兵庫県道路公社が維持・管理している遠阪トンネルを介して春日和田山道路?と?は結ばれる。春日和田山道路が全線開通したことにより、豊岡市から兵庫県庁までの所要時間が約20分短縮されるなど、県内の道路交通の利便性が大きく向上。また、生鮮食料品をはじめとする物流の迅速化や温泉・スキー場などの観光地へのアクセスの改善が図られ、地域の活性化がもたらされる。 精鋭施工陣が高品質確保新技術採用などでコスト縮減「のじぎく兵庫国体」の開催までの開通を目指して近畿地方整備局兵庫国道事務所ならびに豊岡河川国道事務所が建設を進めていた今回開通区間の施工を担当した精鋭施工陣では、最新の施工技術を駆使しながら環境保全にも留意し、安全第一に工事を推進。兵庫の元気な姿を全国にアピールする?スポーツの祭典?を盛り上げるアクセス道路の高品質施工を達成した。 土工、トンネル、橋梁区間が連続する氷上インターチェンジ〜和田山ジャンクション・インターチェンジ間における工事の特徴の1つが、冬期の交通安全対策。トンネル坑口や橋梁部など、積雪・凍結によるスリップ事故の危険性が高い沢野トンネル坑口部、徳畑橋、和田トンネル坑口部、山東ICランプ部、山東PA入出路部、「道の駅但馬のまほろば」歩道部に地下水や地熱を利用した無散水融雪設備をそれぞれ設置している。 この無散水融雪設備は、地山東PA中に埋設した直径2?、長さ18〜20?の鋼製タンクに水を貯め、地中熱を採熱・蓄熱することにより、舗装面を暖めて雪を溶かす環境にやさしい設備で、コストの面においても優れている。 また、工事コストの縮減については、機能分離型支承の採用やICの構造変更など、新技術の採用ならびに現場内における施工の工夫などを凝らし、春日和田山道路全体で約9億円(機能分離型支承の採用で約6億円、IC構造の見直しで約3億円)のコスト縮減を図っている。このうち、機能分離型支承は、従来の支承に要求される機能を集約する考え方から、複数のデバイスにより支承に求められる機能を補完しあって満足させる複合的な支承システムで、▽支承構造・設計の簡素化▽免震橋梁への適用▽コストの縮減▽ポットベアリングの採用▽ライフサイクルコストの縮減ーなどの特徴を有しているもの。今回の開通区間においては、栗住野高架橋、楽音寺高架橋などに平常時と地震時の機能別々に設計し、装置全体で従来の支承機能を満足させるこの機能分離型支承を採用している。 一方、ICの構造変更は、青垣・山東インターチェンジの構造を立体Y型から平面Y型に変更。また、現場内における建設発生土の有効利用、コンクリート二次製品の活用などによる工事コストの縮減にも努めている。このほか、沼栗住野トンネル(延長356?)に、国土交通省近畿地方整備局のトンネルとしてはデザインビルド方式を初採用したことや、周辺の景観・自然環境との調和に留意しているのも特徴。待望の全線開通を果たし、丹波・但馬路地域の活性化をもたらす高規格幹線道路のライン形成には、精鋭各社の優れた技術力が息づいており、北近畿豊岡自動車道の整備促進に対する確かな道標も残した。華やかに開通を祝う喜びを満載して開通区間を快走-。暮らしを支え、未来を育む北近畿豊岡自動車道の一部として、阪神都市圏、播磨地域などとの広域ネットワークを形成し、交通混雑の緩和、産業・経済の発展を支援していく北近畿豊岡自動車道春日和田山道路の全線開通を祝う開通式典は22日、山東パーキングエリア付近で約520人の関係者が出席して華やかに催された。午前10時から始まった開通式典では、まず最初に藤本貴也近畿地方整備局長が、地域の活性化に寄与する春日和田山道路の全線開通を祝う式辞を述べたのに続いて北側一雄国土交通大臣が「古来から交通の要衝として栄え、現在も行楽シーズンには京阪神から多くの人々が訪れる丹波・但馬地域をつなぐ自動車専用道路の開通により、移動時間が大幅に短縮されるとともに、渋滞も緩和され、地域の発展がもたらされる」と挨拶。また、井戸敏三兵庫県知事も「但馬へのアプローチが高速道路体系の中でもう1つ増えたことによるメリットには大きなものがあり、兵庫のこれからが変わる」との祝辞を寄せた。こうして祝賀ムードが盛り上がる中、出席者は鋏入れ式・玖珠玉開披が行われるアーチ付近へと移動。その?熱いまなざし?を受けながらテープカットを行ったのは北側国土交通大臣、藤本局長、井戸知事などで、これと同時に玖珠玉も開かれた。パレードには、約60台が参加。丹波・但馬をつなぐ新しい道路を快走した。北側国土交通大臣藤本貴也近畿地方整備局長井戸敏三兵庫県知事