国土基盤への投資重点に 開発・量的拡大から成熟社会型へと、国土の将来ビジョンの転換を図る国土形 成計画の策定作業が平成19年度の閣議決定を目途に進められている。関西の 2府7県四政令市の首長と経済界の首脳でつくる関西広域連携協議会と、近畿 所在の国の機関の長で構成する近畿広域戦略会議は9日、同計画への反映を目 的に関西での役割や位置付けなど計画の主な論点に対して意見の交換を行う合 同会議を大阪市内のホテルで開催した。新宮康男同協議会代表理事、藤本貴也 近畿地方整備局長、辻原俊博国土交通省大臣官房審議官ら31人が出席した。関 西の官民各機関のトップが一堂に集い、同計画策定に向けて議論を展開する会 議は全国で初めて。
【写真上:完成の官民各機関のトップが一堂に集い、議論を展開した】
【写真下:挨拶する新官代理理事と藤川局長(右】
首都機能バックアップ地域へ 冒頭、新宮代表理事、藤本局長、辻原審議官が挨拶した。新宮代表理事は力強い口調で、「安全で安心な地域 づくりや、国際空港やスーパー中枢港湾をつなぐ効果的なネットワークの構築、さらには次世代テクノロジー 産業等の集積を図り、関西が首都機能のバックアップ地域となるよう、国や各界に発信していきたい」とい い、藤本局長は「国土が抱える新たな課題や近畿ブロックのあり方を様々な観点から議論したい」と述べた。 引き続き、辻原審議官は「各ブロックの取り組みをより良く反映していきたい」と積極的な姿勢を示した。ま た、将来のビジョンづくりの動きについては、「6月を目途に論点の整理を行い、今秋頃に中間とりまとめを 行う」といい、内容は「国土基盤への投資を重点に置きたい」と説いた。また、ビジョンづくりには「企業や NPOら多様な主体の参画と国民一人ひとりの協力が必要だ。速やかに戦略を立てて計画実施のベクトルをつ くりたい」と語った。 次いで藤本局長が、ライフスタイルや産業展望・東アジアとの連携、自立地域社会、国土基盤整備、持続可能 な国土管理に係わる論点を指摘し、近畿における今後の取り組みの方向性を示した。 この後、意見交換へと 移り、府県を代表して柿本善也奈良県知事は、「先の見えない時代だからこそ、確かな視点が必要だ」とい い、政令市を代表して矢田立郎神戸市長は「安全、安心の主眼でビジョンづくりを進めてほしい」と力を込め た。経済界を代表して青柳明雄関西経済連合会常務理事兼事務局長は「関西の個性を強化させるためにはイン フラ整備はまだまだ必要である」と述べた。 他に、丸山浩司三重県副知事が「関西圏と中部県の連携は重要」と訴え、上原任京都市副市長は「地域活性化 の資源でもある文化的要素を多面的に計画に盛り込むべき」と指摘した。また、齋藤富雄兵庫県副知事は「自 然を再生するという観点を計画の中に位置付けるべき」、小佐田昌計和歌山県副知事は「大幅な人口減少の時 代を迎える。力強い人口配置計画を取り入れてほしい」と要望した。 戦略会議からは、福永健文近畿経済産業局長が「急速な経済成長を見せる東アジアとの競争を意識して行く必 要がある」といい、藤本局長は「(様々な意見が出されたが、)近畿ブロックとして何をテーマに発信するの か」と指摘した。また辻原審議官は、各府県・政令市の意見を受け止めて、「たくさんの指摘を今後のビジョ ンづくりの参考にしたい。地域活性化については、インフラ整備も考えないといけないが、既存ストックの活 用を図る必要がある」と述べた。