家造りのプロを求めて 輝建設(株)代表取締役小原公輝氏 自然の恵み、豊かな暮らしをキーワードに家造りを展開している輝建設?(小 原公輝代表取締役社長)は大阪に拠点を置き、関西圏のあちこちで確かな家造 りの動きを見せている。自然素材をふんだんに取り入れた心地良い木の家や、 古材を使った古民家再生による歴史的街並みづくりに力を入れている。とくに 家造りに欠かせない素材の「木」は輸入木材が多い中で、国産の無垢材を使用 するなど素材選びには徹底してこだわりがあるというホンマモノの家造りのプ ロを求めて、小原社長を訪ねた。(池上健史) 小原公輝(こはら・よしてる) 1945年1月2日生まれ。1993年4月に住宅のプランニング、設計・施工、管理 を手がける輝建設(株)を大阪市福島区吉野4に設立した。日本民間再生リサ イクル協会(JMAR)理事。古民家再生セミナー講師を務めるほか、国際F SC認証林の啓豪活動を行う。去る4月4日にはテレビ東京系列で放送された 「ガイアの夜明け」に出演され、家づくりのプロとして存在を広めた。一級建 築士。島根県出身。61歳。
輝建設では古民家の価値を見つめ直し、現代に蘇らせようと古民家再生にも力を入れている。NPO法人・日 本民家再生リサイクル協会理事も務める小原社長は、歴史文化を次世代に伝えるひとつの目安でもある古民家 が続々と壊され消え去る中で、「長い歳月に耐え抜いてきた古民家を何とか残し、活かしたい」と呼びかけて いる。藤井寺市にある築200年の民家を、あと100年住めるように構造補強し、現代の生活スタイルにあった住 まいにリフォーム、古民家を見事に再生した。 ――古民家再生の市場はさらに広がりを見せるでしょう。ハウスメーカーも市場に参入されていますが、古民 家の持つ空間の価値や建築構造、古材、現代の生活様式にあったリフォームの仕方を知りません。お客様は家 族との思い出がこれからも続く家に住み続けたいのです。 日本の伝統的建築技術や古材(設備、民具・建具)など昔から伝わるワザやモノは現在の家造りに活かし、現 代で生まれた新技術や新製品もいい素材を家造りに取り入れている。とくに家造りには欠かせない素材の 「木」にはこだわりがある。「家が建つところの近隣の山で育った国産の無垢材を使用している」。森林で深 呼吸した時に身体で感じる、生きているという実感をお客様に届けたい、小原社長の家造りへの信念だ。 ――健康な暮らしを末永く続けて頂けるような家造りを提案しています。だから素材へのこだわりは木だけで はなく、ホタテの貝殻が原料の塗り壁材や古き社寺建築で用いられているベンガラなど、自然素材の建築材も 使います。 自然素材の活用には創意工夫も見られる。OMソーラー協会の加盟工務店として、太陽熱を利用したOMソー ラーハウスも手掛けている。冬は太陽からの熱を利用して屋根で空気を暖め、床下へ暖かい空気を送り、基礎 のコンクリートを暖めながら家全体を暖める、夏は暖まった空気を排熱しながらお湯取りに利用する。他に、 太陽光発電や雨水利用、地熱利用のクールチューブなども家造りに取り入れ、自然の恵みを活かした地球に優 しい家を広めている。 ――自然素材を家造りに取り込むと住まいに対する愛着がわきます。次の世代に豊かな暮らしを残せるように なるのではないでしょうか。 日本の家づくりに使用される「木」の8割が輸入木材であり、それも密伐採材がかなりの量で流入している。 それら密伐採材による地球環境破壊の危機は往々と語られている。密伐採材に対して、平成5年に環境問題に 積極的に取り組む世界の林業・木材小売業らは世界の森林管理を目的に国際非営利組織FSC(Forest Stewardship Council)を発足、豊かな森を残す環境保全を進めている。世界55カ国 3,463万ha、487の森林がFSC森林認証を得、日本は10以上の森林が取得している。 ――私どもが使う構造材はすべて国産FSC認証材です。木の家造りを行う私たちだからこそ、次の世代に豊 かなみどりを残すFSCのような活動に積極的でありたいと思っています。
【お知らせ】 民家のつくりに民具・建具の観察や土壁塗りなどの昔ながらの技術を学ぶ「きんき民家塾」(第5期生)への 参加を呼びかけている。 今期も充実したカリキュラムが用意されている。募集人員は締め切られたが、参加希望者または民家塾を詳し く知りたい方は輝建設?(?06−6467−5035)の小原社長か、JMRA事務局(?03−5216−3541)まで。き んき民家塾では8月5日、日本の近代建築の傑作といわれている綿業会館で、「大工技術の講義」を開催す る。講師には金閣寺茶室棟梁の木下孝一さんを迎える。「木造の基本的な考え方や世界に誇れる日本の伝統的 建築技術の奥深さ、棟梁としての本来の姿について、など」内容。時間は13時30分か ら16時30分まで。