環境省は新法を27日に施行 アスベスト(石綿)に起因する深刻な健康被害が社会問題となる中で、今月 27日、アスベストによって被害を受けた人を救済するアスベスト新法(石綿 による健康被害の救済に関する法律)が施行され、申請の受付が20日から環 境省の地方事務所で始まる。その一方でアスベスト対策への確かな動きは各 地でひろがりを見せている。大阪市では、広がる市民の不安の解消を図り、 市民の健康保護の促進を目的に大阪市アスベスト対策連絡会議(事務局=大 阪市都市環境局)を発足させ、市アスベスト対策専門委員会の提言を踏まえ て昨年12月に対策基本方針を策定、2006年度はその対策費に11億9,400万円を 充て、学校園・区役所等の公共・民間施設の吹き付けアスベストの除去、飛 散防止の徹底、環境モニタリングなど総合的な対策を開始する。 《132施設で飛散防止徹底など》 大阪市が所有する建築物等のアスベスト対策は、1987年度から1994年度の間 に、1980年度までに建設の188施設に対して、吹き付けアスベスト除去、囲い 込みなどの対策を施しているが、さらに8年度以前に竣工の3,022施設を対象 に関係部局が昨年、使用実態調査を実施。結果、下水処理場や浄水場、小・ 中学校など132施設でアスベストを含有する吹き付け等の露出を判明した。
石綿含有量1%を越える吹き付けロックウール、ひる石、パーライト、折板裏打ち石綿断熱材の使用が発覚 した建物は、立ち入り禁止、空気環境測定、飛散防止シートで覆うなど、いずれかの応急措置を講じた。市 営住宅と保育所についてはアスベスト含有の吹き付け材等の使用はないと住宅局と健康福祉局が確認した。 連絡会議では2007年度までに基本方針、優先順位の考え方に基づき対策工事を進め、完了させる。 《民間建築物の除去等支援も新規追加》 対策では、吹き付けロックウール等が確認された地下鉄出入口では市民通行の場であることからアスベスト 除去が急がれるため、すでに除去・封じ込み等に着手。アスベストの小規模な露出が発見された建物は随 時、対策を実施。昨年に引き続き2006年度は学校園で児童が利用の場所、日常的に使用の区民ホール、スポ ーツセンターなどを優先的に行い、2006年度からは電気室や機会室など日常的に使用されない施設に取り組 む。2007年度は天井裏などの隠蔽部にあるもので除去が可能な建物で対策を進める。 2006年度は住宅局、教育委員会、水道局、都市環境局、交通局が担当する学校園・区役所等の公共施設のア スベスト除去・囲い込み等の対策に予算総額10億3,500万円を計上、また、住宅局の民間建築物アスベスト除 去等支援事業には予算総額1億2,500万円を新たに追加した。これは2006年度から2008年度の3年間に限り、 民間建築物で実施するアスベスト専門調査機関による分析調査や、除去・封じ込め等の工事費用の3分の1 を補助するというもの。環境対策には3,400万円が盛り込まれ、都市環境局と環境事業局がそれぞれ解体工事 等に伴う飛散防止、廃棄物対策、環境モニタリングなどを行う。
【写真上:折板屋根裏面でアスベスト吹き付けロックウールの露出が判明/下:除去対策工事が施され、一新 した某中学校体育館アリーナ・ステージ】