近畿地方整備局と近畿各府県の建設業協会による懇談会が7日、大阪市内のホ テルで開催された。懇談会には、近畿地方整備局の藤本貴也局長並びに国交省 本省、整備局各担当部長らが、協会側からは近畿整備局管内の各協会の正・副 会長らが出席し、建設業を取り巻く最近の動向等についての説明と意見交換が 行われた。 《藤本局長、関西活性化が使命》 懇談会では、初めに藤本局長が挨拶。藤本局長は、建設業を取り巻く不祥事か らの信頼回復が大きな課題だとし「我々は業界の方々とともに良い国土や社会 資本をつくり、関西の活性化を図っていくことが使命だ」と述べ、このための 目標として関西元気宣言の定着と推進、中長期的な活力基盤の確立を上げた。 また公共投資について藤本局長は、かつて欧米諸国と比べ高い水準と言われた が、現在ではそれらを下回るレベルになっていると指摘、「公共投資の増大は 世界の常識、国力を高めるためにも投資は必要」とし、そのためにも公共事業 の担い手である発注者と受注者が国民の信頼を取り戻すことが重要だとした。 さらに、改正独禁法や品確法の施行など公共調達の改革に関しても、「どうい った環境整備をするかいろんな試行を実施しているが、皆さんと相談しながら 良い仕組みをつくりたい」と協力を呼び掛けた。
《建設業を取り巻く最近の動向等について》 次いで協会側を代表して京都建設業協会の絹川治会長が挨拶。絹川会長は、「建設業界は供給過剰にある上、 公共投資の減少や低入札の増加など、環境は悪化している」と現状を述べ、品確法や総合評価方式などに期待 する反面、問題解決には「発注者と受注者が現状を認識し、現状に即したおもいきった対策が必要」とし、懇 談の成果に期待を寄せた。 懇談では、国土交通省の総合政策局建設業課の谷脇暁・入札制度企画指導室長と、大臣官房技術調査課の平出 純一・技術調整官による「建設業を取り巻く最近の動向等について」の説明が行われた後、▽公共工事の品質 確保の促進に関する法律▽経営事項審査精度▽改正独占禁止法関係▽JV活用等の将来展望―についての意見 交換が行われた。 品確法については、総合評価方式における実効性の確保と市町村レベルでの運用、不良・不適格業者の排除な どを求める意見が出された。不良業者等の排除に関しては、経審や参加資格確認など、「入り口段階での施策 を強化する」と、現行制度上で対応するとした。またJVに関しては、特に経常JVが「単なる受注機会拡大 に利用されている」との指摘があり、これについては「見直しを含めて本省でも議論中」とした。このほか、 公共工事予算の増額や地元中小業者等の受注機会確保についての要望などが出された。
【写真上は懇談会の会場風景、写真下は絹川会長】