神戸空港では1月23日、スカイマークエアラインズ機が実機飛行を行った。パ イロットによる離着陸、給油などの地上支援業務をそれぞれ確認した。これを 皮切りに航空各社が開港までに実機飛行を行う予定だ。 運航体制と同時に空港施設の準備も整いつつある。神戸空港(マリンエア)で は1月15日、旅客ターミナルビルと新交通システム神戸空港駅の見学会が実施 され、開業を控えた施設の全容が報道関係者に公開された。 《旅客ターミナル、新交通空港駅など》 旅客ターミナルビルはS造3階1部4階建てで、エネルギー棟含む延床面積は 1万4,320?の規模。内部構成は、1階に到着ロビーはじめ荷捌場など、2階 を出発ロビーとし、3階には飲食店舗のレストラン街、屋上階は展望デッキと 展望レストランが設けられている。 2階の出発ロビーは、新交通神戸空港駅と直結。フロアは、両サイドに航空会 社のカウンターを配置し中央にゲートが配されている。ゲート内の待合室は約 800席を確保、固定搭乗口は4か所(1か所は6月に完成)を設けている。
3階のレストラン街には6店舗が入居、また屋上展望デッキは、ウッドデッキとともに屋上緑化が施され、旅 客機の離発着はもとより海と山を一望でき、空港利用者はじめ、一般の見学者も充分に楽しめるものとなって いる。 一方、新交通神戸空港駅は、RC1部S造3階建て延床面積1,747.095?の3層式駅舎。ターミナルビルとは 約10mの連絡通路で結ばれ、円滑な乗り継ぎを確保している。 ホームの屋根は軽快さと浮遊感を表現した「翼、雲」をモチーフとしたほか、新交通複線化区間全駅(空港駅 含め4駅)で耐震性の向上はじめ周辺環境に調和したデザインとなっている。また上下階や平行移動でも明確 な動線計画やユニバーサルデザインを採用している。 《自動移動支援プロジェクトユビキタスシステムを導入》 また同空港においては、自動移動支援プロジェクト「ユビキタス場所情報システム」を採用している。健常者 や身体障害者、外国人などすべての人を対象に、移動経路や交通手段、目的地への情報に容易にアクセスでき るもので、空港での採用は世界でも初めての試み。ターミナルビルの天井と床、壁に場所を識別するためのデ バイス(ICタグ)を取り付け、杖などに取り付けた携帯端末で情報を受け取り目的地まで誘導するもの。神 戸空港では、ターミナルから新交通駅をはじめ全体を対象に採用する。2月12日から実証実験を開始し、一般 者向けには3月末からの実施を予定している。 ▽ ▽ ▽ ▽ 開港をひかえて地元の神戸市は1月21日までに「神戸空港緊急計画(消火救難・救急医療活動計画)」を取り まとめた。これは航空機事故が起きた場合、いったん重症患者を空港北約2?のポートアイランドにある同市 立中央市民病院で初期手当てし、同院を広域運搬拠点として近接するヘリポートから近畿圏の各病院に患者を 振り分ける。事故時の初期対応病院を指定するのは国内の空港では初めての試み。阪神・淡路大震災や昨年の JR尼崎脱線事故での反省をもとに救急医療ノウハウを積み上げる。 また、神戸市は1月16日付けで職員に対し、出張時の交通手段として神戸空港を利用するよう「出張における 航空機利用等について」徹底した。事前に予約すれば新幹線よりも飛行機が安いという説明付きで、空港の利 用率をバックアップする。 空港各社、関係機関をあげて開港ムードを盛り上げる中、国土交通省は20日、神戸空港にチャーター便を含め 国際線の就航を認めない方針を決めた。交通政策審議会航空分科会による02年12月の答申どおり、関西国際空 港、大阪国際空港(伊丹)を含めた関西3空港の役割分担を明確にしている。 最新施設を備え多くの期待を背に受けながらもまずは国内空港としての出発、「偉大なる第3種空港」は来月 16日いよいよテークオフだ。
【写真上は神戸空港の出発ロビー、写真下はユビキタス情報システムの実証実験】
