
《解体に石綿を含まない工事はないとの認識で》 ――解体時の石綿の飛散防止など近隣への対応はどのように。
【中野社長】 スレート屋根は、発注者のニーズに合わせて手バラシか湿潤化による 機械解体で対応しています。吹付け石綿は密閉後、閉鎖型工事で除去(廃石綿は二重袋 詰め処分)し、配管廻りの保温材と石綿含有建材については、飛散させないという考え のもとで手作業による解体を行い万全を期しています。作業員の防じんマスクなどの保 護具は新基準対応のものを使用しています。
――除去した後の石綿の処分は。
【中野社長】 吹付け石綿は二重袋詰め後、また配管廻りの保護材と石綿含有建材は分別後、それぞれ三重 県にある管理型処分地へ運び処分しています。ただ、今後は処分地の不足が問題になってくるのではと危惧し ているのですが。 ――石綿を含む建築物の解体工事が2020年から40年頃にピークを迎えると予想されていますが、その対応に ついてはどのように。
【中野社長】 最初にも言いましたが、解体現場に石綿を含まない工事はない、石綿含有建材は多少でもど こかにあるという認識を持って作業することですね。それと、解体工事の増加が予想される中で、作業員の確 保と教育を継続的に行い、作業員の増加を促すことも大事かと思います。 ――行政や発注者、元請に対する要望、期待はありますか。
【中野社長】 行政に対しては統一した法律の改善やレベルごとの作業方法の早期確立、それに今後の処分 地不足問題への対応などですね。発注者には「安ければ良い」というのではなく「適正なコスト」が必要であ ることを認識していただきたい。発注者の社会的責任というモラルがなければ話は前に進まないですから。元 請には配慮してもらっていますが、今後の要望として「適正なコスト」の必要性は不可欠であると考えます。 ――最後に、中野社長は近畿建設躯体工業協同組合の解体部会の部会長でもありますが、部会としての取り 組みは。
【中野社長】 行政からの通達などは躯体組合を通じて連絡していますが、部会としては法令などがもう少 し固まってきてから勉強会や講習会を開催しようと思っています。個々の会員はそれぞれに関心を持って石綿 問題には取り組んでいます。 ――本日はどうもありがとうござました。(了)