府議会決算委で質疑 12月に開催された大阪府議会・決算特別委員会の中で、建設工事入札での高 落札率や希望価格についての質疑が行われた。土木部が発注を予定していた 工事の全件が95%以上の落札率となったことについて杉本光伸府議(自民) が質問したもの。これに対して府では「偶然的なもの」と、意図的なもので はないとし、また希望価格に関しては「検討する」としている。 (写真は大阪府庁・大阪府議会)
高落札率となった工事は、平成16年度に土木部がAAランク(13億5,000万円以上)を対象に発注した13件 の工事。WTO案件を含む一般競争入札と公募型指名競争入札で実施され、単体企業1社と12JVが落札し たが、その全ての落札率が95%を超えることと、入札に参加した業者31社が12JVのいずれかのメンバーに なっていたことから、杉本府議が「談合ではないのか」と質したもの。 これに対して答弁に立った契約局では、予定価格は公表しており電子入札によるものであることから、 「結果として偶然にそうなったものでは」とし、不正行為等はなかったとの見解を示した。さらに、入札参 加者が全てJVメンバーに入ったことに関しても、土木部では重複入札を認めていることなどから、偶然的 なものであるとした。 また、AAランク業者の大半が「府外業者」であることから、府内業者が多数を占めるAランクへ配慮 し、対象工事の拡大や予定価格を下げる努力を―と求められたが、「会計法に反する」として現行法上では 無理とされた。 一方、工事希望価格は、発注者側が最低制限価格を上回る価格での受注を参加者に諮るもの。低入札やダ ンピング防止を目的としている。これについて府では、「検討する」に留めた。 AAランクの工事は、高い技術力や高度な施工管理が要求されるため、全国の大手クラスでなければ出来 ない部分もある。このため企業数は限られており、JVの編成にあたっては今回のように全ての業者がいず れかの工事に参加する可能性はある。 また、高い落札率も同等の技術力を有する企業が見積もりした場合、「似かよった額」となることもあろ う。がしかし、杉本府議が指摘したように不自然さは否めない。 入札における不正行為があったとされる場合、大阪府では契約局で調査が行われるが、これとて聞き取り 調査が主でおのずと限界がある。また、入札監視委員会も委員が案件を任意抽出して行うものでこれも効力 は薄い。従って、これまでの府の調査では「談合の事実なし」と判断されるケースが大半を占める。 現在の制度では、発注者側に不正行為を立証する手立ては殆どなく、今後も有効な手段は見つかりそうも ない。高落札も低入札も、価格か品質かで議論が分かれるが、いずれにしろ受注した業者は「公共工事を担 っている」ことを認識し、工事を進めてもらいたい。(W)