ウェブ上で建物内外の光環境を素早く可視化
~GPUを活用した超高速可視化プレゼンテーションシステム~
清水建設(株)<社長 宮本洋一>はこのほど、クラウド技術やグラフィック処理ユニット(GPU)、建物の3次元設計データを駆使し、ウェブ画面上で建物内外の照明や採光などの光環境を写真並みの画質で素早く可視化できる超高速可視化プレゼンテーションシステムを開発しました。このシステムにより、従来数時間を要していた光環境の可視化を数秒から数分で行えるようになりました。
建物の計画段階においては、設計者は発注者と建物の完成後のイメージを共有し、合意形成を図りながら設計作業を進めます。合意形成にあたっては、図面からイメージできないものは模型やCGを作成し、発注者の承認を得ます。中でも光環境の合意形成には、写真並みの高画質なCGが有効であるものの、その作成には多大な手間と時間を要しました。このため、設計者は発注者へのプレゼンテーションに備えて、限られたパターンの光環境を用意するしかなく、かつ説明時に発注者から条件が異なる光環境について検討を求められても、その場で対応することができませんでした。
こうした課題を一挙に解決したのが、クラウド技術ならびにGPU、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)で作成された3次元設計データを活用する超高速可視化プレゼンテーションシステムです。システムの利用者は、クラウド技術によりコンピュータからウェブ経由で必要なサーバーにアクセスすれば光環境を描画処理できるうえ、利用するGPUの数を増やせば描画処理を高速化できます。一方、3次元設計データは高精度な描画のベースになるもので、同データから建物の3次元形状や色合いに関する情報を取り出し、必要に応じて家具や照明などを追加して高精度な描画用3次元データを作成し、クラウド上の必要なサーバーに保存します。
本システムによるプレゼンテーションの手順は、まず、ウェブ経由でGPUを提供しているクラウドサービスにアクセスして描画用3次元データを操作し、発注者が要望する任意の建物部位を指定、画面を見ながら様々な角度や距離を設定します。そのうえで、光環境を確認したい日時や照明機器のオン・オフ、色合いなどの条件を発注者の指示に基づいて入力すると、GPUによる高速描画処理により素早く高画質な光環境が表示されます。また、太陽の光や照明の明るさなどは、画面の明るさや見る角度によって印象が違ってくるので、光の量や眩しさを表す尺度である照度、輝度も瞬時に解析し、その強度を色分けの上、光環境の可視化画像上に表示できます。
本システムの開発に当たっては、東京工業大学が先端研究施設共用促進事業「みんなのスパコンTSUBAMEによるペタスケールへの飛翔」として提供しているスーパーコンピュータ「TSUBAME2.0」を使用し、数十~数百のGPUを利用すれば複雑な大規模モデルでも数秒で写真画質の描画が可能であることを検証しています。
当社は今後、本システムを光環境の検討ツールならびに発注者に対するプレゼンテーションツールとして展開し、優れた光環境の提案ならびに発注者との早期の合意形成に役立てていく考えです。
以上 清水建設(株)
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