トグル制震構法、仙台市役所本庁舎の変形を1/4に低減
―平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震で耐震補強効果を実証―
飛島建設株式会社(社長:伊藤寛治)、仙台市(奥山恵美子市長)、株式会社山下設計東北支社(秋葉公太支社長)、東北工業大学船木研究室(船木尚己准教授)は、「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」における仙台市役所本庁舎の地震観測記録と地震応答解析結果から、トグル制震構法による耐震補強が有効に機能し、被害を大幅に軽減できたことを実証しました。
地震応答解析により地震時の建物の挙動を精密に再現し、
(1)建物の変形(層間変形角)が性能目標(1/150)をクリアしていること
(2)耐震補強を実施していなかった場合に比べ、層間変形角は最大で1/4に、相対変位は最大で1/3に低減されたこと
(3)耐震補強を実施していなかった場合には、建物には大きな損傷が発生していた可能性が高いことを明らかにしました。
耐震補強が有効に機能したことにより、仙台市役所本庁舎の被害は極めて軽微であり、地震後に約1,200名の方に避難場所として利用していただくことができました。また、地震直後から庁舎機能を継続的に維持することができ、地震後の様々な対応を円滑に行うことができました。
■仙台市役所本庁舎の耐震補強
仙台市役所本庁舎は、昭和40年に竣工した鉄骨鉄筋コンクリート造地上8階(塔屋3階)、地下2階の建築物で、新耐震設計法以前の耐震基準により設計されていることから、10年以内の発生確率が70%程度(2009年1月1日評価時点)と極めて高い宮城県沖地震やその他の地震から来庁者や職員の安全を確保する目的で、トグル制震機構を用いた耐震補強工事が行われ平成20年に完了しています。
耐震補強の性能目標は、今回の地震のように耐用年数中に一度あるかないかの大規模の地震については、新耐震設計法の理念である、最低限人命に危害を及ぼす倒壊をしないこととし、建物の層間変形角が1/150以下とされました。
耐震補強に採用されたトグル制震構法は、“てこ”の増幅作用を応用したトグル機構により、地震時に生じる層間変形を2~3倍に増幅してダンパーに伝え、効率よく地震のエネルギーを吸収することができる制震補強工法です。図2にトグル制震構法に用いる制震ブレース(トグル制震ブレース)を模式的に示します。
■仙台市役所本庁舎の地震観測
平成21年10月より、仙台市、山下設計東北支社、東北工業大学阿部研究室(現在は、船木研究室が継承)、飛島建設の4機関共同で、防災情報ならびに震度情報の掲示による地震防災意識の啓発、仙台市役所本庁舎の地震時挙動の評価等を目的に、仙台市役所本庁舎の地震観測が行われています。
地震計は地上1階と屋上階の2か所に設置され、建物の桁行方向(X方向:長手方向)、張間方向(Y方向;短手方向)、上下方向(Z方向)の加速度を記録しています。図3に加速度記録を示します。地上階および屋上階で観測された最大加速度は413cm/s2と853cm/s2です。 飛島建設(株)
http://www.tobishima.co.jp
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