基本設計先行型DBM方式2011年4月の竣工目指す 京都市が、PFI事業で実施していた「京都市左京区総合庁舎整備等事業」 の落札者は、藤井組を代表者とするグループに決定した。落札金額は49億 7,500万円。現庁舎を移転し、新たに整備するもので、資金調達と基本設計は 京都市が行う基本設計先行型DBM方式で実施していたもの。事業契約を締 結後、来年9月に着工し、2011年4月に竣工の予定。維持管理業務期間は 2026年3月末まで。
落札者となったのは、藤井組と構成員に南海ビルサービス、協力会社として大建設計、近建ビル管理で構成 するグループ。市では5月に入札公告を行い事業者を募集したところ、同グループと要建設グループの2者 から応募があり、総合評価一般競争入札で藤井組グループの提案を最優秀提案として選定した。 業務範囲は、実施設計と建設及び工事監理、施設の賞有権移転と維持管理の各業務。事業期間は2009年4月 から同38年3月末まで。同グループの提案では、RC造一部プレストレストコンクリート造地下1階地上3 階建て、建築面積約3,984?、延床面積約1万2,654?を建設。施設は、区役所(福祉事務所と保健所を含 む)、区民ホールや会議室などの交流スペース、駐車場などで構成される。 提案ポイントでは、庁舎のロゴマークを策定し、内装に左京区のシンボルとして使用、区民ロビーや会議室 に木質系の材料を使用してぬくもりのある内装を提供。ユニバーサルデザインによる案内表示はじめ、障害 者にもわかりやすく、心配りを備えた庁舎とする。また、自然エネルギーと設備システムの調和した環境共 生型庁舎として、自然換気の導入や雨水等の植栽利用、高断熱公遮熱複層ガラスの採用とLED照明器具を 導入。このほか、大温度差空調システムや夜間外気を利用したナイトパージ運転、エネルギー監視システム の高機能化による省エネルギーを実現。さらに、太陽光発電装置による非常用補助電源の確保、井水等の急 速ろ過装置で災害時には3,000人分(1,000人/日)の飲料水を確保するほか、建物躯体にプレストレストコ ンクリートを採用することで、災害対策拠点として十分に機能する安全性と設備を備えることとしている。 事業は、現庁舎の老朽化と狭隘化に加え、区民部と福祉部、保健所が分散していることから、これらを統合 して機能強化と行政サービス向上を図るため、左京区松ヶ崎修理町12−1、堂ノ上町7−2の敷地面積 7,001・09?に総合庁舎として移転、整備するもの。 事業化にあたっては、市民参加ワークショップの開催や来庁者アンケートなどにより区民の意見を集約する とともに、資金調達と基本設計を京都市が、実施設計と施工、維持管理を民間事業者が行う基本設計先行型 DBM方式を採用。庁舎外観は、平入りと妻入りの組み合わせた切妻屋根として背景の山並みに調和するス カイラインを形成、ガラスカーテンウォールにより庁舎の正面性を表現しながら、周辺から続く並木で一体 的なまちなみを形成しながら、ファサードには列柱を配してリズムを与えるなどを基本デザインとしてい る。 今後、特別目的会社(SPC)を設立し、2009年3月に事業契約を締結、同9月に工事着工し、2011年4月 の竣工を目指す。