グローバル化戦略など、基調講演とパネル討論 国際物流戦略チーム(本部長=下妻博・社関西経済連合会会長)の主催によ る「国際物流シンポジウム‘―更なる連携、大阪湾から世界へー‘」が7 日、大阪市北区・中之島のグランキューブ大阪で開催された。大阪湾諸港の 一開港化など、効率的な物流ネットワークの形成に向けた取り組みについ て、戦略チームのメンバーによる講演やパネルディスカッションが行われ、 港湾をはじめ物流関連の関係者ら約450人が参加した。 シンポジウムでは、初めに主催者を代表して下妻本部長が挨拶。下妻本部長 は、物流戦略チームのこれまでの取り組みについて、関空2期のオープンや 一開港化など、「具体的な成果が上がってきている」としながら、「効率的 な物流ネットワーク形成には、それら基幹インフラをシームレスにつなぐ道 路網整備が不可欠」とし、その実現には「長期的戦略に基づく息の長い取り 組みが必要で、皆さんの支援と協力が必要となり、このシンポジウムがその 一助となることを願う」と今後の成果に期待を寄せた。 次いで、国土交通省港湾局の須野原豊局長が、国際競争力の強化を目指した 取り組みである、スーパー中枢港湾に関して、「阪神港でハード、ソフト一 体となって整備に取り組んでいるが、この流れをさらに加速させたい」と し、一開港化など、全国に先駆けた取り組みを推進している物流戦略チーム にも支援を要請し、関西の発展につなげたいとした。
この後、戦略チーム幹事会の幹事を務める神戸市立工業高等専門学校校長の黒田勝彦氏による基調講演‘グ ローバル経済社会と近畿のインフラ整備’と、矢田立郎・神戸市長、布村昭彦・近畿地方整備局長、上村多 恵子・(社)関西経済同友会幹事、黒田氏によるパネルディスカッションが行われた。 基調講演で黒田氏は、世界経済の流れとして、ボーダレス化を上げ、「国境を越えた大経済活動で、従来の 国家単位の大経済システムは崩壊した」と指摘、これによりEUやASEANなど、地域経済時代に入り、 グローバル都市地域が誕生するとした。国際海上物流に関しては、「コンテナ貨物が増大し、コンテナなく して世界物流は考えられない」と述べ、これに対応してターミナルなど港湾施設の大型化が進展、さらに世 界の港湾は民間のメガオペレーターが運営し、世界的ネットワークを形成しているとした。 また国内の港湾については、「コスト低減と時間短縮が課題」とし、スーパー中枢港湾と一開港化による課 題解消に期待を寄せ、空港では、都市圏での複数化はあたり前で、「アジアでは拡張競争が始まっている」 とされ、「グローバル競争は経済だけでなく、インフラ整備も含めた競争となっている」と、その重要性を 指摘した。 続くパネル討論では、一開港化について上村氏は、法改正も含め「短時間でよく実現した」と述べ、臨海部 への企業進出は「道路の先に港や空港があり、その先は世界につながっていることを企業は知っている」 と、戦略チームの取り組みは「単なるインフラ整備の延長ではなく、産業育成のためでもある」とした。黒 田氏は、世界の港湾運営は民営化が進んでおり、「日本でも考えるべきだ」と、現状では世界に太刀打ちで きないとし、港湾と空港の連携は利用者にとって「大きなファクターになりつつある」とした。 矢田市長は、神戸港でのスーパー中枢港湾の取り組み状況を説明しながら、国際競争力の強化には、情報の 一元化と利用者満足度の向上、港湾管理者の財政基盤の確立が必要だとし、「空港も含めたポートオーソリ ティをつくり上げる時期にきている」と港湾管理者としての意見を述べた。 布村局長は、関西にはモノづくりの力があり、「その力がスムーズに連携すれば大きな力になる」とし、 「その連携とは道路により港、空港をつなぐことで、それによりモノづくりの力が発揮できる」と語り、国 際競争では、ハードでつなぎ、ソフトでつなぐ、「トータルで勝負できるかどうかだろう」との見方を示し た。