約10万戸におよぶ市営住宅ストックを良好な社会資本として有効に活用すると ともに、建て替え事業についても計画的に推進している大阪市が、その一環と して進めていた古市東住宅10号館建設工事がこのほど完成し、先月31日から入 居が始まった。鉄骨鉄筋コンクリート造13階建て、延べ床面積7,145.02?のス ケールを有するもので、戸数は103戸。施工を担当した(株)中道組では、安 全第一に品質の向上を目指していき、全工期無事故・無災害での高精度施工を 達成した。
約10万戸におよぶ市営住宅ストックを良好な社会資本として有効に活用していくため、「市営住宅ストック総 合活用計画」に基づいて事業を進めている大阪市。建て替え事業を積極的に進め、居住水準の向上や良好な住 環境の整備を図るとともに、土地の効率的活用による住宅の供給促進に努めている。 替え事業の一環として、京阪電鉄「関目」駅から東に1.0?、大阪市営地下鉄長堀鶴見緑地線「今福鶴見」駅 から北に0.9?の大阪市城東区古市2丁目に市営古市中住宅においては、1994年度から安全・安心・快適な居 住環境の創出をもたらす建て替え事業に着手し、これまでに第五期工事までが完成している。 現在は、「大阪市営古市東住宅」の名称で管理されている同住宅は、1952年度から建設された鉄筋コンクリー ト造と簡易耐火住宅835戸の団地で、道路・公園・学校を一体的に計画するなど、戦後の公的住宅団地開発の モデルにもなっていた。 しかし、経年経過に伴う老朽化の進行はもとより、住戸規模も小さいことから、居住水準の向上等を図る建て 替え事業の推進と併せて、今後のまちづくりのモデルとなる新しい都市型集合住宅の建設を目指すこととし た。 魅力的な景観を備えたアメニティー豊かな住宅地の形成、良好なコミュニティの形成、安心して暮らせる居住 環境の整備など、長期的な視野に立って進められてきた建て替え事業によって鮮やかな変貌を遂げてきている 古市東住宅。その一翼を担う第六期工事で建設された八号館(RC造六階建て、41戸)、9号館(RC造6階 建て、35戸)については、昨年9月に完成した。 これに引き続いてこのほど完成した10号館の構造規模は、鉄骨鉄筋コンクリート造13階建て、延べ床面積 7,145.02?。戸数は103戸で、多様な居住者ニーズに対応できるよう、多彩な間取りプランを揃えている。 高齢者をはじめとするすべての入居者が安心して暮らせるよう、全住戸のバリアフリー化を図るなどして人に やさしい住環境を創出している10号館。その施工を担当し、多くの関係者から寄せられていた期待と信頼に応 えたのは(株)中道組で、今田健蔵所長をはじめとする有能なスタッフが安全第一に品質の向上を目指してい き、全工期無事故・無災害での高精度施工を達成した。 工事が本格化したのは、2005年1月末。既設住宅の基礎および杭があったため、この撤去から着手し、2月21 日から杭打ちに着手した。 打設したのは径800から2,400?、長さ9から10.4mの場所打ちコンクリート杭(一部拡底杭)で、合計本数は 29本。アースドリル工法を採用して3月中旬まで着実に打ち込みを続け、この後に鋼矢板圧入による山留め工 事を推進した。 4月4日から開始した掘削(根切底GLマイナス3.5m)は、GLマイナス1.2m付近からあった湧水に悩まさ れたものの、山留めの止水性が優れており、ポンプアップによる排水に努めながら作業を推進したので、ドラ イワークを保ったまま無事に完了し、同月22日には基礎コンクリートを打設するに至った。 第5節までに分割して行った鉄骨建方は、昨春の4月24日に完了。また、その2か月後には躯体打ち上げを工 程通りに迎え、第6期建て替え事業の掉尾を飾る工事は、いよいよ終盤を迎えた。 11月末に内装、12月末に外構を完了させ、工期内竣工を果たした(株)中道組では、外装ばかりでなく、室内 天井や間仕切り壁もコンクリート打ち放しだったため、躯体精度の向上にはとりわけ留意して施工。具体的に は、コンクリート打設前の水平・垂直チェックを各階にわたって厳密に実施するとともに、ジャンカが生じな いように突き固めを入念に行うなどして密実なコンクリートの打設に努めた。 一方、安全管理面においては、幼稚園から短大までを擁する私学(信愛女学院)や「大阪市立菫小学校」など が近接してあったため、通学路にガードマンを常駐させたのはもちろん、通学時間帯を避けて資材の搬出入を 行うといった対応策を講じて第3者災害の防止に全力を傾注。また、現場内では、高層住宅の施工であること から、墜落・転落災害の防止を最重点項目として定めた安全管理活動を緻密に展開して11万7,000時間におよ ぶ全工期無事故・無災害を見事に達成した。 今田健蔵所長の話 フロア毎にバルコニーの形状が変化していくことに対する施工管理に苦慮しましたが、全工期無事故・無災害 のうちに竣工を迎えることができ、ほっとしています。これも偏に、大阪市をはじめとする関係各位のご指導 ならびに近隣の皆様方のご協力の賜物であり、心から感謝申し上げます。