高規格ターミナルC−12、南港東岸壁も 大阪港で推進される各種施策のうち、国土交通省では「夢洲トンネル」と「南 港東地区岸壁」、「夢洲国際海上コンテナターミナル」の整備を担当してい る。夢洲トンネルは、夢洲と咲洲をつなぐ道路鉄道併用トンネルとして計画さ れ、このうち道路部を「臨港道路」として国交省の直轄事業として行われてい るもの。同トンネルは、咲洲コスモ七号線から夢洲の幹線道路に至る延長 2,138mで、トンネルは、夢洲と咲洲の両アプローチ部となる陸上トンネルと 海底トンネルで構成される。 ※写真:工事の進む夢洲トンネル
このうち海底トンネルは、沈埋トンネルとして沈埋函八函を接続して構築。沈埋函は、長さ100m、幅35.4m 3、高さ8.6mを標準規格とし、内部は中央に鉄道軌道、その両側に幅員3.25mで往復分離2車線の道路規格第 4種1級の道路を配したもの。 工事は、2001年から実施されており、これまで両側アプローチ部築造工事や夢洲の立坑(鋼殻ケーソン)設 置、沈埋函設置などが実施されている。 アプローチ工事は咲洲側で、全9工区のうち既に7工区が工事を終えており、現在では「なにわの海の時空 館」に隣接する8工区と9工区が今年度末の完了を目指している。夢洲側では、立坑背後で延長約320mの鋼 管矢板の打設と夢洲内の仕切護岸の撤去工事が行われている。 また沈埋函据付工事は、昨年11月に咲洲側から1号函の据付が始まり、これまでに4函の据付が完了。来年2 月には五号函の据付が予定されている。沈埋函の据付では、函体の上に設置するコントロールタワーを、従来 のツータワー方式から国内初のワンタワー方式として実施、これにより沈設作業による航路制限期間を短縮し ている。なお、残る6号函から8号函は、今年度内の完成を目指して製作中。 一方、この夢洲内において実施されている国際海上コンテナターミナルは、高規格コンテナターミナルとして 3バースを整備するもので、昨年度には直轄事業としてC−12に着手している。既にC−10とC−11は供用を 開始しており、このC−12が完成すれば総延長約1,100mのターミナルが稼動する。 C−12は、水深16m、延長400mで、護岸はケーソン12函を設置して構築。現在は来年夏頃のケーソン設置に 向け、サンドコンパクションパイル(SCP)やサンドドレーン(SD)による地盤改良工事が行われてい る。これら夢洲で行われている2つの工事は、いずれも2008年度の完成を予定しているが、両事業は、夢洲で 展開するスーパー中枢港湾の核となるだけに、その完成が待たれている。また、南港東地区岸壁は、大阪港内 港の平林地区の背後地で取り扱っていた木材産業が、原木から加工品への転換が進んだことから、それらに対 応した係船荷役のためのターミナルを整備するもの。 現在、使用している岸壁では水深が浅く、大型船の接岸が困難であることから、木材はじめ鉄鋼、アルミなど のバルク(ばら荷)貨物運搬船の大型化に対応するとともに、再開発により廃止が予定されているドルフィ ン・ブイで取り扱う貨物を集約するため「多目的国際海上ターミナル」として整備を予定している。 計画では、ターミナル岸壁を国交省が、背後地を大阪市が整備。岸壁はコンクリートケーソン12函で構築する 延長260m、水深13mで、工事は2000年に着手された。現在では、昨年にケーソン2函が設置されたが、今後 の事業推進にあたっては、経済情勢や社会動向を睨みながら実施するとしている。