那賀浄化センターの建設に弾み 「安全で活力あふれる和歌山」を県政の基本方針として掲げ、少子高齢化や産 業の活性化といった課題の克服に努めている和歌山県。それへの布石となる基 盤づくりを担う県土整備部においては、「安全で安心な県土づくり」、「交流 ネットワークづくり」、「美しく快適なまちづくり」という3つの柱と、「改 革と発展」という2つの視点を設定して取り組んでいる。2005年度末現在にお ける和歌山県の下水道や汚水処理施設の整備状況については、下水道処理人口 普及率が14.3%、汚水処理人口普及率が40.9%となっており、ともに全国と比 べて大きく立ち遅れている。
※建設工事が進む那賀浄化センター 快適な生活環境を確保するばかりでなく、和歌山県の美しい自然や2004年に世界遺産登録された高野山、熊野 三山などの歴史・文化遺産を後世に残していくためにも、早急に整備していく必要がある重要な社会基盤であ る下水道等の汚水処理施設。このため、和歌山県では、「和歌山県全県域汚水適正処理構想」に基づき、下水 道、集落排水施設、浄化槽などの連携を図りながら、地域の実情に応じた事業を?より早く、より経済的に、 より効率的に?実施している。 2008年度における汚水処理人口普及率50%の達成を目標として取り組んでいるこの構想の柱となる流域下水道 事業については、紀の川流域下水道(伊都処理区)、紀の川中流流域下水道(那賀処理区)の2か所で事業を 進めており、安らぎと潤いのある快適な環境の中で、県民1人ひとりがゆとりと生きがいのある生活を営むこ とができる「豊かな環境」を創造していく。 ■紀の川流域下水道(伊都処理区) 橋本市、高野口町(現橋本市)、かつらぎ町、九度山町を対象として昭和54年度に事業に着手し、2001年4月 から一部供用を開始して和歌山県に?下水道時代の幕開け?をもたらした伊都処理区。また、2001年度末に は、全区間の流域幹線管渠が完成している。 紀の川の水質保全と生活環境の向上に大きく寄与する同流域下水道の全体計画は、計画処理面積約3、 084ha、計画処理人口約8万4,200人、計画汚水量約5万2,000立方m/日、流域幹線管渠延長18?。終末処理 場の伊都浄化センターは、かつらぎ町窪地内に位置しており、2006年4月現在では、16分の3池が稼働し、約 5,000立方m/日の汚水を受け入れている。 今後は、関連市町の面整備の拡大等に伴う汚水流入量増加や、高度処理対応に合わせた施設の増設などを行う 予定。なお、処理区全体の下水道普及率は、2005年度末で27.0%、下水道への接続率は51.5%となっている。 ■紀の川中流流域下水道(那賀処理区) 和歌山県内でも宅地開発などによって都市化が著しく進行している紀の川右岸および左岸に位置する打田町、 粉河町、那賀町、桃山町、貴志川町(現在の紀の川市)ならびに岩出町(現在の岩出市)を対象として2001年 度より事業に着手した紀の川中流流域下水道(那賀処理区)。紀の川流域下水道と相まって、和歌山県の下水 道整備の中枢を担っていく。 その全体計画は、計画処理面積約3,334ha、計画処理人口13万3,400人、計画汚水量約7万2,600立方m/日、 流域幹線管渠延長34?となっており、那賀、桃山、貴志川の3幹線からなる流域幹線管渠については、平成14 年度から工事に着手し、計画的に敷設を進めている。 また、終末処理場の那賀浄化センターは、岩出市の中 島地区に位置し、2004年度より早期の1部供用開始を目指して建設工事を進めている。紀の川中流流域下水道 (那賀処理区)が完成すると、和歌山県の下水道普及率は11%上昇する見込みで、処理構想の実現に大きく近 づくことになる。なお、関連公共下水道については、2005年度末までに、従来の岩出町、桃山町、貴志川町、 打田町が事業に着手している。