全国初の取り組み 多聞東中学校、耐震化に併せ実施 神戸市では、環境に優しい学校づくりを目指し「多聞東中学校エコ改修」事業 の提案公募をプロポーザル方式で実施していたが、このほど設計者に東畑建築 事務所を最優秀賞に決定した。環境省が実施する「学校エコ改修と環境教育事 業」のモデル事業で、全国では最初の取り組みとなる。今後、実施設計を行い 今年度末に工事に着手する。全体完成は2007年度末の予定。 ※写真：多聞東中学校の現状
エコ改修は、学校の改修工事に伴い、教室の温熱環境の改善やＣＯ２削減を図る工夫により、環境にやさしい 学校へのリニューアルを目指し、改修工事とともに生徒や教職員が環境学習（環境教育研究会）を行い、工事 後の校舎の維持管理、環境問題への理解を深めることを目的としたもの。 その実践に向け神戸市では、関西の建築設計事務所に対して公募により参加を呼びかけ、今年２月から「環境 建築研究会」を７回にわたり開催、参加した72社を対象にエコ改修の提案公募を行っていたもの。 提案公募には22社からの応募があり、学識経験者や学校関係者ら７名で構成する選考委員会（委員長＝児玉祐 一郎・神戸芸術工科大学教授）が二次にわたる審査を行い、東畑建築設計事務所を最優秀賞に選定したほか、 優秀賞２社、環境教育小１社、環境賞３社を選んだ。 多聞東中学校では、校舎２棟と体育館１棟の耐震補強工事に併せてエコ改修を実施。校舎はＲＣ造四階建ての 延べ約2,800?と約2,300?、体育館ＲＣ造平家延べ約850?の規模。エコ改修では、外壁や外溝はじめ、屋上 緑化なども考慮することとしている。 最優秀賞の提案では、日本の気候風土より生まれた伝統技術の手法に学ぶ「生きる知恵の継承」をテーマに、 緑の小径やエコフレーム・エコルーパー、風のやぐらなどのエコ改修工事とともに、環境学習の仕掛けとして エコファーム、山里体験などを提案している。 今後は、エコ改修と耐震補強工事を組み合わせた実施設計を行い、2006年度末より工事に着手し、最終的な完 成は同2007度末を予定している。また、環境学習については環境教育研究会でさらに検討を進めるとしてい る。 エコ改修の導入は、年々深刻化する夏季の暑さ対策として、エアコン導入ではエネルギー消費量が増加し、ヒ ートアイランド現象などの地球環境負荷へつながることから、日射の遮蔽や風通しなど自然環境を考慮したエ ネルギー消費型でない方策による学校づくりを目指したもの。 なお、最優秀賞をはじめとする受賞者に対する表彰式は20日に行われたほか、応募した22社の提案を10月中旬 まで多聞東中学校玄関ホールでパネル展示し、エコ改修に対するＰＲを実施する。 各賞の受賞者は次の通り。 （最優秀賞）▽東畑建築事務所 （優秀賞）▽ＴＥＯＡｒｃｈｉｔｅｃｔｓ▽いるか設計集団 （環境教育賞）▽福岩建築設計事務所 （環境賞）▽ＭＩＫＩ建築設計事務所▽山本設計▽現代計画研究所