工事監理の徹底やトラブル防止など 大阪府並、びに府内特定行政庁らで構成する大阪府建築物安全安心推進会議はこのほど、「第四次大阪府建 築物安全安心計画」を策定した。建築物に係る事件や事故等が発生してきたことから、従来の計画の実績検 証の下、工事監理と中間検査、完了検査の徹底や違反建築物の早期発見など4つの目標と六項目の施策を定 めたもの。計画期間は今年10月から2014年9月30日まで。 大阪府建築物安全安心推進会議は、阪神淡路大震災を教訓に1999年に設立され、現在では府と8市の府内特 定行政庁、民間企業、社大阪建設業協会をはじめとする建設団体及び指定確認検査機関で構成されている。 会議ではこれまで、1999年度から3次にわたり計画を策定、安全で安心な建築物の確保を推進してきた。こ れまでの取り組みでは、完了検査率の大幅な向上など一定の成果を挙げてきている。しかし、近年では、構 造計算書偽装問題が発覚し、建築物に対する安全性を揺るがし、耐震性への不安と建設業界への不信を招 き、このため、建築基準法や建築士法の改正、構造計算適合性判定、特定住宅瑕疵担保責任の履行に関する 法令施行などが行われてきている。 さらに近年では、昇降機や公園遊具施設等による事故や不具合が発生、基準法に基づく定期報告が行われて いなかったことや、木造住宅の壁量不足やJIS規格に適合しないコンクリートの使用など、建築物の安 全・安心に関わる問題も発生していることから今回、第3次計画の実績実証を踏まえ第四次計画を策定した もの。 計画の目標は、 ?工事監理の普及と中間検査、完了検査の全数受検の推進を図る ?違反建築物の早期発見、早期是正の徹底を図る ?全数報告を長期的、最終的な目標としつつ定期報告率の向上を図る ?リフォーム問題対策、防犯対策、建築設備の事故防止等の推進を図る ―の4つ。 推進施策では、工事監理制度の普及啓発や中間検査及び完了検査の受検促進など6つの取組みと、その下に それぞれの推進施策を策定。施策では第3次計画からの継続項目のほか、新規項目を盛り込んでいる。6つ の取組みのうち、新規項目では、「建築士・建築士事務所の資質向上に向けた取組み」を策定。建築士の知 識・社会的責任意識の向上と建築主が適正に事務所を選定するための情報提供に取り組む。工事監理制度の 普及啓発では、欠陥・手抜き工事を防止するため工事を建築主に代わってチェックする工事監理者制度の普 及促進を図るもので、推進施策の新規項目として、確認申請書に監理者名を記載して責任所在を明確化する とともに、建築主に対し制度の周知徹底を図っていくとした。 このほかの新規項目では、違反建築等に対する電気等の供給停止、既存建築物の吹付けアスベスト対策、新 たな手口によるトラブル情報の収集とその対処方法や留意事項についての分析・検討ーなど。 計画期間は、2008年10月1日から2014年9月30日までとし、中間年で検証を行うとしている。