施工 西松・奥村・錢高・新井・寄神特別JV 兵庫県が、新湊川水系の治水対策を目的に建設を進めてきた「石井ダム」が このほど、完成した。ダムは、堤高66m、堤頂長155.0m、有効貯水量200万 立方mの重力式コンクリートダムで、工事は2000年12月に着工、同16年16年 からは試験湛水を開始していた。なお31日には、関係者らが出席しての竣工 式が執り行われる。施工は西松・奥村・錢高・新井・寄神特別共同企業体が 担当した。
石井ダムが建設された神戸市北区山田町下谷上の烏原川は、烏原貯水池上流で石井川と合流し、さらに下流 において天王谷川と合流して新湊川となるもので、新湊川は神戸市域を流下して大阪湾に至る、表六甲河川 群では最大の河川。しかし、豪雨等により山地崩壊や河川氾濫などの災害が多発したため、兵庫県では「新 湊川総合開発事業」として河川改修はじめ治水ダムの建設を計画、その一つとして石井ダムの建設を進めて いたもの。 ダムは、重力式コンクリートダムで、堤高66.2m、堤頂長155.0m、堤体積18万2,000立方m、ダム天端標高 EL236.2m、最高水位EL232.2m、総貯水量200万立方mの規模で、洪水調節は自然調節方式として、計画 洪水時には毎秒165立方mの洪水調節を行う。ダムは、1967年から予備調査、1972年に実施計画調査を開始 し、1981年4月から建設事業に着手した。工事ではまず、工事用道路と市道付替工事から行われ、さらにダ ム建設により水没する神戸電鉄有馬線の付替工事を実施。その後、鈴蘭台汚水幹線付替工事にも着手した。 これら工事を経て、2000年12月からダム本体工に着工した。2001年3月の安全祈願祭を終えてから、上流仮 締切から転流工、基礎岩盤となる花崗閃緑岩(黒御影石)まで掘削を実施。これら基礎工事を終えた2002年 8月からはコンクリート打設を開始、さらに同年10月には定礎式を行った。 コンクリート打設にあたっては、拡張レヤー工法(ELCM)を採用して工期短縮とコスト削減に努めなが ら、2004年4月には最終コンクリートを打設、同年10月にダム堤体が完成し、さらに11月から試験湛水を開 始、今年4月には最高水位に達するとともに、ダム本体及び貯水池周辺の安全性が確認されたもの。 このほか、1990年4月にはレクリエーション多目的ダム事業、1992年2月にはシビックデザインダム事業に 採択された。レクリエーションダムでは、本体の中に多目的ホールを設けるほか、遊歩道や展望台を設置し てダムをレクリエーション空間として開放するもの。 シビックデザインダムは、ダム本来の機能に景観的機能を加え、構造物としての魅力を高めて潤いのある地 域づくりを支援するもの。また、ダム堤体のデザインや化粧型枠等による装飾、ライトアップなどに関して は「石井ダムデザイン検討委員会」で基本デザインを決定した。 なお、31日の竣工式は、兵庫県神戸県民局の主催によりテープカットやクス玉開披などが行われる。