近畿地方整備局港湾空港部、調査・設計、環境対策など 神戸港湾空港技術調査事務所は、近畿地方整備局管内２府４県の港湾・空 港・海岸整備に関する設計、調査等とともに、「近畿の港湾空港技術ビジョ ン」に基づく調査研究・技術開発を行うなど総合的な技術センターとしての 役割を担っている。
主要業務のうち、防災・減災関連業務では、東南海・南海地震を想定した管内直轄港湾等の既存施設への被 害想定と対策の検討を進めている。今年度は。災害発生時に港湾のゲートウェイ機能やバイパス機能を確保 するため、各港湾管理者との情報共有システム構築等により、大阪湾をケーススタディに港湾における事業 継続計画（ＢＣＰ）支援ツールの「施設情報可否システム」の検討を実施。 また、地震津波に対応するため、堤防や護岸の海岸保全施設の簡易耐震診断手法である「チャート式耐震診 断システム」をはじめ、リアルタイム津波予測システムや漂流物対策などの検討と併せ、技術面では、耐震 補強工法や新型式防波堤の直立浮上式防波堤の実用化に向けた調査研究を推進している。 環境への取り組みでは、「大阪湾再生行動計画」（2004年３月策定）を踏まえ2005年度から同事務所に専属 の「海の再生環境技術センター」を設置。各機関が実施する大阪湾の環境モニタリングを一元化する「大阪 湾環境データベース」などのネットワーク化を促進し、それら結果に基づく環境調査をＮＰＯなどと連携し ての実証実験を実施している。 設計業務では、大阪港で工事中の夢咲トンネルにおける夢洲側立坑の取付護岸部の耐震設計をはじめ、舞鶴 港での前島地区岸壁（水深九ｍ）の改良基本設計で、供用中護岸へ支障の少ない工法の検討を実施。また、 鋼構造物の点検業務の効率化を図るため、鋼構造物非接触肉厚測定調査研究を実施している。 このほか同事務所では、管内域でのゴミや油などの回収を行う環境整備船や監督観測船の建造・修理を担 当。昨年１月には、海面清掃兼油回収船「Ｄｒ海洋」が就航した。さらに新たな環境機能や防災機能を備え た次世代環境整備船の検討も行われている。 なお、同事務所の技術開発に対してはこれまで、土木学会（本部・関西支部）や全建、日本港湾協会から 技術賞などが贈られている。
