淀川左岸線も課題に 国際物流の効率化を通じた関西経済の活性化を目指す、国際物流戦略チーム (本部長=下妻博・社関西経済連合会会長)の第4回本部会合が7日、大阪 市北区・中之島の大阪国際会議場で開催され、下妻本部長はじめ、産学官の 各メンバーらが出席して、これまでの活動報告や今後の取り組みについてを 審議した。 会合では、初めに挨拶に立った下妻本部長が、広域連携を念頭に3年間活動 を行い、「大阪湾諸港の一開港化など評価すべき成果を上げることができ た」とこれまで取り組みを振り返り、今後は「関西はアジアとの結びつきを 強め、産業を育成し、新たな発展に向け物流戦略を企画し、スピーディに実 行する必要がある」と、今後も連携を強化して関西活性化を目指して検討を 続けていこうと呼びかけた。 続いて、同チーム幹事会を代表して、神戸市立工業高等専門学校校長の黒田 勝彦氏が幹事会での取り組み状況を報告。黒田氏は、大阪港と尼崎西宮芦屋 港、神戸港を統合した「阪神港」による一開港化の実現、スーパー中枢港湾 の整備、中・四国や日本海側港湾との広域連携への取り組みなど「課題解決 に向け、1つ1つ取り組んできたが、今後はそれら成果をより、詰めていか なければならない」とした。また、今後の取り組みでは、一開港化に引き続 いての連携強化として、瀬戸内海諸港との連携などを検討していくこととし た。
意見交換では、神戸市の矢田立郎市長が、荷主のニーズに対応した港湾整備が必要とし、特に道路整備は 「物流の生命で、未整備地域での促進を」と訴え、関西国際空港(株)の村山敦社長は、新滑走路のオープ ンにより「中国貨物に関しては成田を凌いだ」とその効果を指摘、今後も「地理的条件を活かしアジアの物 流拠点を目指したい」と、戦略チームの支援を期待した。 阪神高速道路(株)の田中宰社長は、「港湾、空港と玄関口の整備は着実に進められており、それらをつな ぐ道路整備も重要だ」とし、特に淀川左岸線について「産業力強化につながるものであり、関西全体のため にも整備したい」と支援と協力を呼びかけた。 一方、戦略チームからは黒田氏が、「淀川左岸線は幹事会のテーマにもなっているが、自治体の財政難が課 題」とし、関係自治体での議論が必要とした。また、ロジスティクス経営士の上村多恵子氏は、港湾や空 港、道路の整備促進は「単なるインフラ整備の延長ではなく、産業の国際競争力強化に資するための足腰と なるもの」とし、企業の関西進出は、「企業から選ばれたことを重視すべき」と、今後も民間の力を引き出 すためのアピールが必要とした。 また、副本部長である布村明彦・近畿地方整備局長は、基幹インフラの整備は着実に進んでいるとしなが ら、道路整備に関して「財源の問題もあるがここ10年間で大きなものはつながると思う」とし、淀川左岸線 については、「大阪府と大阪市とも重要性は認識しており、今後も智恵を出し合っていくことで合意はでき ている」と、今後の進展に期待を寄せた。 淀川左岸線について下妻本部長は、「PFI導入など、事業スキームを変えてみるのも1つの方法」と提起 し、港湾に関しては、「舞鶴港が日本海側の拠点となる」と期待を寄せた。