施工・大成建設、CSG工法などを見学 (社)大阪建設業協会土木委員会(松田卓委員長)並びに大阪土木施工管理 技士会(奥村太加典会長)の共催による「土木工事現場見学会」が15日、大 成建設(株)が奈良県吉野郡で施工中の「白屋地区地すべり対策工事作業 所」で開催された。会員各社の技術研鑽を目的として実施されたもので、見 学会には会員各社から30人が参加した。 この工事は、2003年3月に実施された大滝ダムの試験湛水で発生した大滝ダ ム白屋地区(奈良県吉野郡吉野町)での地すべり対策工事として、近畿地方 整備局が設計施工一括の総合評価方式で発注したもの。対策工事は、地すべ りが発生した幅200m、奥行き200mと、その周囲で地山の緩みが確認された 幅400m、奥行き500mの範囲にわたり実施されている。 見学会では、まず工事事務所で江田正敏・作業所長と設計担当の大前博・副 所長から工事概要の説明が行われた。初めに江田所長が、「現在はコンクリ ート壁による河川締切を終えて数ヶ月の状況だが、今後も鋭意工事を進め安 全な白屋地区としたい」と挨拶。次いで大前副所長が工事内容について説明 を行った。
対策工事では、急勾配での押え盛土による抑制工と鋼管杭やグラウンドアンカーなどの抑止工を組み合わせ たものとし、特に押え盛土工では、新技術となるCSG(Cemented Sand and Grav el)工法を採用している。 このCSG工法は、締切後の河床内で、撒出し・敷均し・転圧・締固めを繰り返しながら打設。CSG材に は流域から採取した河床砂礫と砕石、セメントなどを混入して練上げたものを使用。混入に際しては砂礫を 採取地毎に選別するとともに、現場上流にCSGプラントを設置して、品質管理と安定供給に努めている。 現場見学では、江田所長と大前副所長の案内により、現在実施されているCSG材の盛土作業や鋼管杭の打 設状況、さらにプラントなどをつぶさに見て回り、参加者は熱心に説明を聞きながら、写真撮影などを行っ ていた。 工事では、河川工事に着手後から基礎コンクリート打設完了まで、台風等によって工事区域が越水・水没な どの被害に見舞われるなど、「前半は地すべり対策というより、実質は通年での河川工事」(大前副所長) となったが、今年6月にはコンクリート壁による河川締切が完了し、文字通り地すべり対策工事が本格化し てきている。 現在は、押え盛土部分でCSGを先行して実施。また鋼管杭は、径900?L、長さ平均40mを合計122本打設 するもので、これまで36本を打設している。工期は2008年7月31日となっている。