布引工区シールド 神戸市が建設を進めている「大容量送水管整備事業」で、完成したシールド トンネルを一般公開した「トンネルウォーク」が11日に開催された。送水 管布設前のトンネルを見学してもらうこうとで、同整備事業に対する理解を 深めてもらうことを目的としたもの。ウォークは、布引工区の約1.5?を対象 に実施し、約250人が参加した。 トンネルウォークは、神戸市中央区熊内町通7丁目の布引立坑から大日通1 丁目の王子立坑に到る「布引工区」で、王子立坑をスタートに、四回に分け て実施された。初めに、神戸市水道局奥平野浄水場工事事務所の三浦久人所 長が、「普段では見ることの出来ないトンネルを見学する貴重な時。しっか りと見てほしい」と挨拶、ウォークにより整備事業に対し理解が深まること に期待を寄せた。 ウォークでは、水道局の職員らの案内でシールドトンネルにまつわるクイズ ラリーを行い、トンネル内でクイズを楽しみながら、また布引立坑の坑口付 近では落書きコーナーが設けられ、参加した家族や親子らが記念撮影や名前 を記すなど、それぞれにウォークを楽しんだほか、完歩後は、神戸ウォータ ーなどの参加賞が配られた。
大容量送水管整備事業は、阪神・淡路大震災を契機に既設の送水トンネルとの危険分散を考慮し、市街地の 地下をルートとしたもの。計画では、芦屋市境から奥平野浄水場までの延長12.8?を第1期区間とし、既に 芦屋市境から住吉川立坑までの3.8?は2002年度に完成、現在は布引工区と王子工区、石屋川工区で工事が行 われている。 送水管は直径2.4mの鋼製で、トンネルは泥土圧式シールド工法により構築。また、災害時に給水拠点となる 各立坑は、圧入オープンケーソン工法で施工された。このうち、今回のトンネルウォークは、布引工区のシ ールドトンネルが完成したことから実施された。 布引工区では、外径12.9m、深さ58.8mの布引立坑を築造後、2006年12月からシールド掘進を開始、延長 1,521.2mで今年9月中旬に王子立坑に到達。既に一次覆工を終え今後は、来年2月頃までに送水管の布設を 終える予定。施工は清水・竹中土木・大豊特定JV。 王子工区では、石屋川工区への発進立坑なる口径12.4m、深さ27.7mの王子立坑築造後、2005年5月末から シールド工事に着手。今年5月に石屋川立坑に到達。トンネル延長3,450mで、既に400mまで送水管の布設 が進んでいる。施工は飛島・戸田・五洋特定JV。 このほか、王子工区と接続する石屋川工区では、石屋川立坑(外径12.7m・深さ27.7m)から昨年11月に発 進したシールド機が今年9月下旬に住吉川立坑に到達しており、これにより布引工区から石屋川工区までが つながった。同工区は延長1,644.7mで、奥村・鉄建・田村特定JVが施工を担当している。 なお、布引工区から奥平野浄水場までの延長2.4?(奥平野工区)は、一部を全国で初めてとなる大深度地下 使用法の適用を受けて実施される。全体の完成は2012年度の予定。