指定機関に日総試・防災センター・建築センター、年間約5,000件を見込む 今月20日から、構造計算適合性判定(ピアチェック)がスタートするが、大阪府では、(財)日本建築総合 試験所大阪事務所、(財)大阪建築防災センター、(財)日本建築センターの3機関が知事指定となり、業 務を開始する。建築物の安全性確保のため、建築基準法の改正を受け、建築確認と検査業務の厳格化を図る ための措置で、府では年間で4から5,000件の処理件数を見込んでいる。 ピアチェックは、姉歯問題から端を発した耐震偽装事件を受け、今月20日から施行される「建築物の安全性 の確保を図るための建築基準法等の一部を改正する法律」で建築確認申請時に義務付けられたもの。チェッ クは、都道府県知事が実施することとされ、知事による指定構造計算適合性判定機関が行う。指定にあたり 大阪府では、公平性を担保する観点から財団法人格を有する団体とし、日総試と防災センター、建築センタ ーの3者を指定機関とするもの。
3者の業務分担は、日総試が、計画通知を含む高さ31m以上又は延床面積3,000?以上の建築物、防災センタ ーは計画通知を除いた、高さ31m以下で延床面積3,000?以下の建築物。建築センターでは、前二者が申請を 受付けた建築確認案件について担当し、同センターの確認申請受付分は、それぞれの規模に応じて2者が担 当する。 判定員は、国が実施する講習会と演習の受講者で、受講資格は大学教授はじめ、(社)日本建築構造技術者 協会の建築構造士の取得者か、APECエンジニアの登録者、社日本建築士会連合会の構造専攻建築士の取 得者などで、いずれも構造設計や工事監理業務で7年以上の実務経験があり、また責任者として、高さ20m を超えるRC造の建築物に係る2件以上の実務経験を有することなどとしている。 今年3月に実施された講習会には全国で3,598人が受講(大学教授除く)。このうち3,354人が演習に進み、 1,315人が判定員と認定された。さらに演習でB判定とされた411人に対して追加演習を実施し、246人が追加 認定された。このうち大阪府では、「20人から25人程度の判定員は必要」(住宅まちづくり部建築指導室) としているが、現状では「若干不足しており、建築事務所等に依頼している」(同)としている。また、実 際の業務開始に先立ちモデルテストの実施も予定している。 これら体制づくりが進む一方で、課題も生じてきている。ピアチェックは、106本ある大臣認定プログラ ム(構造計算ソフト)により行うこととしているが、基準法改正に伴い現行のプログラムの再認定が必要と なったが、現時点ではまだ認定作業が終了しておらず、「スタート時点では手作業による処理も」(指導 室)あり得るとし、プログラムと比較して倍以上の時間がかかることとなり、判定員の確保と併せて業務の 遅滞が懸念されている。 府では年間の処理件数として、防災センターの申請が年間で3,000から4,000件、日総試で同1,000件程度ある ことから4,000から5,000件を見込んでいる。