事後審査型制限付一般競争入札の早期全件適用など 大阪市入札等監視委員会(松下義行委員長)は、「入札契約制度の改善に向けて」と題した検討報告書をまと め16日、市財政局契約管理部委員会室で、松下委員長が柏木孝助役に手渡した。同報告書は、平成17年3月に 提出した前回の報告書と同年10月にまとめた緊急提言の成果と現状の検証、また、入札契約を取り巻く状況の 変化などを受けて、今後、さらに市が取り組むべき課題などについて検討し市に提出したもの。今回の報告書 では、事後審査型制限付一般競争入札や電子入札の早期全件適用、ノミネート方式の試行を提案した特定JV の見直し、総合評価方式の導入、さらには談合などによる不正行為のペナルティーや指名停止の強化などを盛 り込み、競争性の向上と透明性・公正性の確保を鮮明に打ち出している。 市の事後審査型制限付一般競争入札は、土木2億円以上、建築3億円以上を対象に入札後に落札候補者につい てのみ資格審査を行うもの。資格審査の業務の効率化・省力化が図れるという観点から2006年6月から採用に 踏み切り、昨年12月末現在55件に適用。2008年度までに全件に適用したい考え。また、電子入札についても、 2007年度は、Eランクのみ紙併用を認め、その他全件については電子のみという方針を打ち出している。 報告書では、市の事後審査制型限付一般競争入札の導入や低入札価格調査制度の拡大は、競争性の向上や落札 率の低減の点で大きな成果を挙げているとしながらも、通常の指名競争入札の対象案件については、種目別に その実態の詳細を分析すると、94%以上の落札率の件数が多いこと、入札参加業者数が七社に満たない案件も あること、さらに談合情報の合致しているものや無効にした案件のほとんどは通常の指名競争入札であること など指摘し、さらなる競争性の向上と透明性・公正性の確保、受注機会の均等化を図るため、事後審査型制限 付一般競争入札と電子入札の全件適用を、計画の前倒しを行い2007年度のできるだけ早期に実施するよう求め た。また、入札参加業者を非公開とする効果の確保のため、市全域を基本とするよう大幅に緩和する「地域要 件の緩和」も盛り込んでいる。 和歌山県、福島県、名名古屋市各発注工事の談合事件も重くみて、特定建設工事共同企業体(特定JV)制度 の見直しも必要とし、新たな方式として「ノミネート方式」の試行的な導入を提案した。同方式は、もともと 国際プロジェクトで国際的企業が建設工事を行う場合、当該国から提示されたリストから下請けなどの協力企 業を選定する仕組みで、この方式を応用し、入札には幹事会社となる大企業が参加し、落札した段階で地元企 業のリストの中から協力会社を選定することにより、地元企業の育成も図ろうというもの。社日本土木工業協 会も、「透明性のある入札・契約制度に向けて」(2006年4月27日)とする提言の中で、この方式を提案して いる。 ダンピング対策や工事の品質確保、施工監理の充実強化としては、建築3億円以上、その他工事2億円以上と している低入札価格調査制度の適用範囲の拡大を挙げ、「技術者の複数配置の義務化」や「粗雑工事の場合の 指名停止期間の延長」など、低入札価格調査案件の十分な対策を盛り込んでいる。また総合評価方式の導入 は、技術提案の評価において恣意性を排除するためにも、評価方法の客観性の担保など厳正な運用方法を確保 しながら導入の促進を図っていかなければならないとしている。地方自治体の遅れが指摘されている総合評価 方式は、市も「2007年度から試行したい」方針だ。 このほか報告書では、談合情報対応マニュアルの改正、談合など不正行為に対するペナルティーの強化、指名 停止の強化、府警本部と連携強化した暴力団の排除対策などを明記した。