建替や耐震、住戸改善など、2015年度までの10年間で推進 大阪府はこのほど、「大阪府営住宅ストック総合活用計画(2007年1月)」を策定した。社会情勢等の変化を 受け、現行の計画を見直したもので、府が管理する府営住宅を対象に、建替えや耐震改修、高齢者向け住戸改 善等の事業を適切に推進する。計画期間は2015平年度までの10年間で、5年目に点検・見直しを行うとしてい る。 大阪府ではこれまで、2002年2月に策定した、同01年度から2010年度までを計画期間とした「大阪府営住宅ス トック総合活用計画」に基づき、府営住宅での建替えや住戸改善、土地の高度利用などを図ってきた。しか し、大規模地震に対する備えや高齢化に向けたバリアフリー化などへの対応が不可欠となってきたことから今 回、現行計画の見直しを行ったもの。 今回の計画では、府が管理する公営住宅と特定公共賃貸住宅等を対象に、2006年度から2015年度までの10年間 に、「原則として新たな供給を行わず、これまで蓄積してきた府営住宅ストックを有効活用する」を基本方針 とし、?安全で安心して暮らせる住いづくり?効果的な住宅セーフティネットづくり?良好なコミュニティ形 成を目指した地域のまちづくり――に取り組んでいくもの。 安全で安心して暮らせる住いづくりでは、ストック全体で9割以上の耐震化と5割以上のバリアフリー化を推 進し、老朽化したストック等の更新、長期的活用を図るため適切な維持保全に務める。 このうち耐震化では、中層ラーメン構造住宅等での建替事業、高層住宅で居住しながらの耐震改修等の改善事 業を実施。バリアフリー化は、建替事業では全住戸でバリアフリー化された「あいあい住宅」を供給するとと もに、高齢者向け改善事業や中層エレベーター設置事業等を推進する。 老朽化ストック等の更新では、木造・簡易耐火住宅や昭和20から30年代の中層耐火住宅及び昭和40年代に建設 された耐震性の低い中層耐火住宅を中心に建替を実施する。また、建替により生み出される活用用地を適切に 処分し、その処分益を建替事業や改善事業の財源に充填するほか、一定の立地を有する住宅では、建替と活用 用地を一体で処分するPFI手法を導入する。 効果的な住宅セーフティネットづくりでは、新婚・子育て世帯はじめ福祉世帯向けなどに対する適切な募集と 入居管理、建替えに際しての団地別の状況や借上げ公営住宅制度の活用等、地域の需給バランスを考慮した供 給に務めるとした。 また、良好なコミュニティ形成を目指した地域のまちづくりは、建替に際して市町村と協議・調整し、都市計 画やまちづくり計画等の連携を図り、活用用地で多様な住宅や地域活性化につながる施設、並びに福祉ニーズ に対応した社会福祉施設等の導入を進める。このほか、戸数が1,000戸を超える大規模団地については、地域 のまちづくりや地域コミュニティ活性化、バランスのある地域社会形成などの視点を持ち、活用用地における 団地分割や団地間の戸数調整、分散化などにより再生への検討を進めていく。 今回の計画の対象となる府営住宅は、公営住宅13万、6,429戸、特定公共賃貸住宅等が2,262戸(2006年3月 末)で、このうち4万8,350戸は既に建替が完了している。