建物用途別で約3,000棟で 大阪府はこのほど、府有建築物耐震化実施方針(案)を策定した。昨年12月に策定された「大阪府住宅・建築 物耐震化10か年戦略プラン(耐震改修促進計画)」に示された耐震化への基本的考え方を踏まえ、取り組みへ の具体的な進め方をまとめたもので、今後、同方針に基づき約3,000棟を対象に、計画的かつ効率的に耐震化 を推進していくとしている。 大阪府の耐震化10か年戦略プランでは、2006年度から2015年度までの10年間に、府有建築物全体の耐震化率 90%以上目標とした。その基本的な考え方として、府有財産の有効活用の観点から、長期的な活用を図る建築 物については耐震改修で、老朽化や機能面から長期的活用が困難とされる建築物は、複数施設の合築や集約化 を検討し、建て替え等による耐震化を図るとしている。 実施方針は、この基本的な考え方を踏まえてのもの。耐震化の対象となるのは、1981年以前の旧耐震基準で建 設された特定建築物及び準特定建築物のうち、現行の基準に満たない建物(構造耐震指標Is値0.6未満) で、耐震化の進め方は ▽災害時に重要な機能を果たす建築物 ▽府立学校(避難所に指定されている体育館・校舎除く) ▽府営住宅▽その他の一般建築物 ――の建物用途別に計画的に行うとした。 府庁舎や警察庁者、病院、避難所などの災害時の拠点施設となる建築物については、既に耐震診断を完了して おり、新たに追加された施設についても速やかに実施し、診断によりIs値が0.3未満の建物は2007年度から の3年間で耐震化事業に着手する。 府立学校では、今年度末までに耐震診断が完了する予定で、経年劣化対策である大規模改修に併せ計画的に耐 震改修を実施。Is値0.3未満の建物については、2007年度から5年間で耐震化事業を進める。 府営住宅での耐震診断は、高層住宅及び一部の中層住宅では実施済みで、未診断となっているラーメン構造の 中層住宅については2007年度末までに完了するとし、耐震化については、「府営住宅ストック総合活用計画」 (今年度中に策定予定)に基づき、中層住宅は建替事業で、高層住宅は耐震化事業で実施。 なお、Is値0.3未満の住宅のうち、耐震改修事業によるもについては、ストック総合活用計画の計画期間内 の前期5年間で着手するとしている。 その他の一般建築物については、「府有財産の有効活用方策」の検討を踏まえ、長期的活用を図るべきとされ た建物に関しては早期に耐震診断を実施、完了する。また、福祉施設や多数の府民が利用する施設は、用途や 耐震性能等を考慮して計画的に耐震化を進め、特にIs値0.3未満のものについては、2007年度から5年間で 耐震化事業に着手する。 これら耐震化事業の進捗状況については、毎年度末に集約して、年度当初に公表するとともに、実施方針は、 社会状況の変化や事業実績等を踏まえて適時、点検・見直しを行うこととしている。 耐震化が必要となる府有施設は、総数9,828棟のうちの特定建築物で所定の耐震性能を満たさない約3,000棟が 対象。この中には府庁本庁舎も含まれており、それら災害時の重要拠点となる施設では耐震化率100%を目標 としている。