工事を見せることの意味 透明性の確保はまず工事現場から―。 今、ほとんどの工事現場では「仮囲い」と称して、高さ数?に及ぶフェンスで 現場の周囲を覆い、外からは見えないようにしている。最近では、仮囲いのフ ェンスにパネルを設置したり絵を描いて周辺の景観に配慮した現場も多くなっ ているが、それでも外から中は見えない。
そこで元請各社に1つ提案。仮囲いのフェンスをアクリルや樹脂系の材質で透明なものにして、道行く人たち が中のようすを見えるようにしたらどうだろう。今、どのような工事が行われているのか、職人さんたちがど のような仕事をしているのか、基礎工事から仕上げ工事に至るまでの工程をオープンにするのだ。 一般の人たちは通常、躯体がある程度建ち上がった段階か、仮囲いやシートがとれ、建物が完成間近となって 初めて見るケースがほとんどだろう。工事の過程を見せることで、現場では数多くの作業員が仕事をし、品質 や安全に留意して建物を造っていることなどが理解してもらえるのではないだろうか。たぶん、見られること で作業する職人さんたちの励みとなり、それが仕事に対する誇りにも繋がるように思う。また、子どもたちが とびや鉄筋、型枠などの職人さんたちの仕事ぶりを見て、将来は自分も「鉄筋工になりたい」と思うかも知れ ない。 仮囲いのフェンスを透明にするといっても、材質やコスト、安全性など考慮すべき点も多いと思うが、工事に 対する理解を深めてもらうなど、現場にとっても透明にして仕事を見てもらうことのメリットの方がずっと大 きいのではないか。 土工協は今年4月、国民に信頼され、真に国民の利益となる調達制度の実現をめざした業界の提言として「透 明性ある入札・契約制度に向けて」をまとめた。その中では、入札・契約プロセスの透明性の確保を求め、旧 来のしきたりからの訣別、魅力ある建設産業の構築と経済社会への貢献を提言している。 こうした業界の提言する「透明性の確保」は、まず身近な工事現場から実現してほしい。 ※写真:仮囲いのフェンス(写真と本文は関係ありません)