「土木の日」イベント 近畿整備局大和川河川事務所の「亀の瀬地すべり対策」 近畿地方整備局大和川河川事務所が実施している大規模な「亀の瀬地すべり対 策工事」で、世界最大規模の深礎工の工事が最終段階に入り、42本目となる最 後の峠下部深礎工(15号)の掘削が順調に進んでいる。施工は大容建設・姫野 組経常建設共同企業体。こうしたダイナミックな現場を一度見てもらおうと大 和川河川事務所は、「土木の日」のイベントとして、18日に親子現場見学会を 行った。また、一帯を桜の名所にするために、参加者が展望広場で桜の苗木30 本を植樹した。 ※写真上:直径6.5mの巨大な深礎工 ※写真下:堀削の内部
同見学会には約50人が参加。冒頭、大和川河川事務所の玉置文志副所長が「この地域は、日本でも有数の地す べりの危険性が高いところ。過去には大きな被害も出た。土木技術を駆使し、どう食い止めようとしているの か、この機会によく見学してほしい。また、工事が慨成する2009年度には、この一帯を桜の山にしたい」と、 見学会の趣旨と今後の方針を語った。 まず、はじめに「亀の瀬地すべり資料室」の事務所で、アニメーションのビデオにより、地すべりの怖さや、 これを防止するために「地すべりの土塊を取り除くこと」「地下水を抜き取ること」「杭を打ち地すべりを食 い止めること」の対策の必要性を学んだ上、資料室で職員の詳しい説明を受けながらパネルや模型の展示によ って、地すべりのメカニズム、過去の被害状況、工事の進め方などを勉強した。 この後、現場に移動。地下水を集める「集水井」、地下水が通る「排水トンネル」を見学。排水トンネルで は、すべり面となる粘土層の地点で、実際、参加者も粘土に触れて亀の瀬の地層を確認した。 地すべりを食い止める深礎工では、峠地区で直径6.5m、最深100mという巨大な杭を施工。深さは通天閣とほ ぼ同じ。また、地上30階建てビルに相当し世界最大規模という。最後の42本目の工事は大容建設・姫野組経 常建設共同企業体が担当し、いま約40mまで掘削中。今後、90mまで掘削し、本体工では鉄筋を組み、コンク リートを打設する。深礎工は峠地区の42本を含めて、亀の瀬全体で大小合わせて約170本を数える。 亀の瀬の地すべりは、1961年7月に発生したのをはじめ、1931年11月に峠地区で亀裂が発見、亀の瀬トンネル がおしつぶされた。さらに1932年7月には大和川の川底が9m以上も盛り上がり、川をせき止めるなど、多く の家が浸水被害にあった。これらの背景を踏まえ1962年から建設省(現国土交通省)が直轄事業として、亀の 瀬地すべり対策工事を実施。1980年まで抑制工を中心とした排土工・集水井工・排水トンネル工・集水ボーリ ング工などを進めた。1981年以降は深礎工による抑止工を主体に工事を実施している。 見学の後、桜の植樹を行った展望広場は一帯が見渡せる高台にあり、地すべりの観測や監視などの設備を設 置。今回の見学会では30本、また、桜の会ボランティアも20本植樹した。柏原市もすでに単独で600本植樹し ている。