寒冷地での工事に伴うネック克服 今秋に予定している豊能町、能勢町への新規給水ならびに茨木市簡易水道の上 水道への一部統合。その一翼を担う大阪府第3中継ポンプ場・茨木市泉原受水 場築造工事の施工を担当し、高品質に完成させたのは山本土木?。奥高儀所 長、藤田茂主任をはじめとする同社ならびに各協力会社の精鋭スタッフが一丸 となって良質で安定した水道水の供給への中枢を担う施設の建設に取り組み、 全工期無事故・無災害のうちに大阪府ならびに茨木市関係者から寄せられてい た期待と信頼に応える高精度施工を達成した。 冬場の平均気温が摂氏五度以下という寒冷地において二度の冬を乗り越え、 無事に竣工を迎えた工事が軌道に乗り始めたのは2004年7月20日。建設地が府 道より下のレベルにあったことから、現場へのアプローチをスムーズにするた めの仮設桟橋の設置から着手した。
【写真上:完成した大阪府第3中継ポンプ場・茨木市泉原受水場】
【写真下:府営水道監査室】
これとラップさせながら推進した親杭横矢板工法による土留めは、府道部分にある擁壁の撤去と地下構造物の 躯体工を安全に構築するためのもので、こうした前段階作業を経て10月1日からは床版までの1次掘削がスタ ートした。表土部は浅層混合改良、岩盤部までは深層混合改良によって行った地盤改良ならびにこの後の鋤取 り(2次掘削)も順調に進捗し、逆T型擁壁工に引き続いて茨木市の地下構造物躯体工を先行させた。12月中 旬からは、大阪府の地下構造物躯体工にも着手。打ち上げを果たしたのは、茨木市が2005年2月22日、大阪府 が4月1日のことで、水道管の室内配管についても約1か月間で完了するに至った。 地下構造物外部の防水工(茨木市の施設のみ)が終了したのを契機として本格化した埋め戻しは、場内整備工 を行いながら推進。なお、当初設計では、真土による埋め戻しとなっていたが、後の沈下に備えてリサイクル 材を使用して施工した。埋め戻しの完了に伴って5月末からは茨木市、6月中旬からは大阪府の地上建屋築造 工が本格化。上棟は6月28日に茨木市、8月11日に大阪府がそれぞれ迎えた。外壁タイル貼り(茨木市の施設 のみ)、屋根工事などの外部仕上げがすべて完了したのは11月中旬で、昨年末から今年の2月末にかけては外 構工事を推進。また、3月末までは前面の府道復旧を行い、大阪府ならびに茨木市関係者から寄せられていた 信頼に応える高品質施工を達成した。その品質管理においては、今回の工事における構造物が浄水施設である ため、高い水密性が要求されたので、漏水防止の観点から極力コンクリートのひび割れを少なくする必要性が あった。 このため、コンクリート打設予定日の3から7日前に打設作業に関係する業者および生コンプラント業者が集 まって施工当日の施工順序、作業人員、打設ピッチ、役割分担に関する施工会議を実施。また、施工当日は、 施工会議で決定した内容を関係者全員が朝礼において再度確認し、全員が周知した上で作業を開始した。な お、特記仕様書に記されていた膨張剤については、底盤部以外の地下部分に混和材として膨張性混和剤を配合 し、使用量などに関する監督員の指導を得ながら乾燥収縮ひび割れなどによる漏水の防止に努めた。 《全工期無災害も達成》 一方、冬場の平均気温が昼でも摂氏5度以下という寒冷地における施工条件を克服しながら高品質を確保する ため、コンクリート打設までは鉄筋の凍結防止に留意。また、温度ひび割れおよび乾燥収縮ひび割れを抑制す るため、型枠は必ず一週間存置し、ジェットヒーターならびに投光器を使用して凍結防止を図るとともに、型 枠に適宜散水を行って温潤養生に万全を期した。このほか、掘削時には直径1から2mの転石が多数出たの で、施工をスムーズに行うため、仮置き場へいったん搬出して人力破砕を行い、その後、場外へと搬出して対 応。さらに、排水処理については、濁水処理設備およびPH調整設備を設置し、農業専用の水質基準ならびに 濁度基準を満たして佐保川へと放流した。 このように、品質の向上を目指しながら環境保全にも十分な配慮を加えて佐保川の清流を保った山本土木 (株)では、安全管理活動も緻密に展開。クレーン作業が多かったため、吊荷の落下災害防止を重点項目とし て定め、玉掛けの再確認などを徹底。また、重機災害の防止や冬季における路面凍結による交通災害の防止に も慎重な対応を図り、最終的には6万5,000時間におよぶ全工期無事故・無災害を達成して有終の美を飾っ た。