ライン形成に息づく高度な技術力 ?人が創る未来への夢?に向かって邁進し、新時代の暮らしの夢を広げる期 待の新線を高品質に完成させた精鋭施工陣。環境保全対策に留意しながら品 質の向上を安全第一に目指していき、関西文化学術研究都市と大阪都心部を 直結するライン形成に確かな足跡を残した。 建設延長8.7?のうち、約60%をトンネルが占め、残りの約15%が橋梁・高架 橋、約25%が盛土・切土で構成されるけいはんな線の建設は、2000年から全 体を10工区に分割して推進。生駒から東生駒までの線路敷設(全長約 1,200m)を行う生駒・東生駒(分界点)間建設工事は、西半分を第一工区 (鹿島・大日本土木・森本特定建設工事共同企業体)、東半分を第二工区 (奥村・淺沼特定建設工事共同企業体)がそれぞれ施工を担当した。 第一工区では、新線の学研奈良登美ヶ丘駅行き線の線路敷きを確保するた め、全長約60mに亘る四連の橋梁を新設したのに続いて、延長約100mの擁壁改 築によって線路敷きを増設。また、新線の生駒駅行き線の線路敷きを確保す るに当たっては、市道谷田小明線を跨ぐ橋梁の改築を行った。
【写真上:北大和トンネル付近/下:登美ヶ丘高架付近】
《環境保全にも留意》 第二工区では、市道大谷線に面して擁壁(延長約40m)を新設。この後、近鉄奈良線を南側に移設してから新 線の線路敷きを確保するために線間擁壁(約150m)を築造するとともに、新線の線路敷きとして、現在の国 道168号線を跨ぐ橋梁およびその前後の高架橋(延長約83m)の北側に同様の構造物を増設した。全長約 3,600mの東生駒トンネルの建設は、南工区(奥村・前田・五洋・不動特定建設工事共同企業体)と北工区 (鹿島・飛島・東急・淺沼特定建設工事共同企業体)に分割して施工。NATM工法を採用し、慎重に掘削 を進めた。両工区ともに、トンネル入口より約100から150m付近までの大阪層群と呼ばれる地質の区間は機械 掘削を続け、この後の花崗岩を主体とする硬い地盤については発破を使用して掘削。また、都市部での工事 であることに配慮し、防音ハウスや防音壁による騒音の低減ならびにダンプトラックの速度制限など、環境 保全、安全対策に全力を傾けた。 生駒駅から学研奈良登美ヶ丘駅間のうち、東生駒トンネルを抜けた白庭住宅地に掘割り構造(半地下構造) の「白庭台駅」(延長約190m)と、白庭トンネル(同約130m)を建設した白庭駅部および白庭トンネル建設 工事(大日本・三井住友・森特定建設工事共同企業体)では、開削工法によって白庭台駅の躯体およびプラ ットホームを構築。また、白庭トンネルについては、駅部より登美ヶ丘方に向けてNATM工法で掘削し た。補助工法として長尺鋼管先受けや脚部先行補強を行い、機械掘削を続けた。 これから続く白庭高架橋および北大和駅部建設工事(錢高・鴻池・鉄建特定建設工事共同企業体)では、白 庭トンネルを抜けた緑豊かな田園地帯に高架橋(延長約475m)および「学研北生駒駅」(約200m)を建設。 富雄川右岸〜奈良阪田原線までの高架橋については、場所打ち杭の上に高架橋ラーメン本体を造り、その間 に単板を設置して全体の高架橋とした。また、学研北大和駅は、一部地面を掘り下げて構築した。 北大和トンネル建設工事(大林・清水・戸田・村本特定建設工事共同企業体)は、学研北大和駅から登美ヶ 丘車庫部に至る延長約1,100mの北大和トンネルを標高差50m程度の丘陵地に造成された閑静なニュータウンの 地下約7から26mの深さに構築したもの。NATM工法に加え、注入式長尺鋼管先受け工や脚部先行補強等の 補助工法を導入するとともに、騒音・振動および地表面沈下などに対する計測を適宜行いながら慎重に掘削 した。 登美ヶ丘車庫部造成工事(大成・熊谷・西松・森本特定建設工事共同企業体)は、3つの谷を埋め立て、そ の間にある二つの尾根を切り取ることによって車庫に必要な平地を確保する全体面積約19haの造成工事。埋 め立て土量は、車庫内での切土量約59万立方mに他工区からの受け入れ約60万立方mを加えた約119万立方mに もおよび、切盛土が完了した部分から傾斜地等への緑化も行った。なお、伐採材については、場内でチップ 処理した後にリサイクル資源に加工して場外搬出した。 登美ヶ丘車庫部から学研奈良登美ヶ丘駅までの線路(全長約590m)を敷設する登美ヶ丘車庫部〜登美ヶ丘駅 間建設工事(竹中土木)では、近畿日本鉄道および近鉄不動産が施行する(仮称)登美ヶ丘駅前土地区画整 理事業に伴う造成工事において尾根を切り取り、谷を埋め立てる粗造成をまず行い、この後に新線の線路敷 きを確保するための土留め擁壁を登美ヶ丘車庫から東側に延長約400?に亘って築造。また、その東側から延 長約190mについては高架橋を築造し、高架橋形式の学研奈良登美ヶ丘駅との一体化を図った。登美ヶ丘駅部 建設工事(大林・竹中工務店・大日本・森本特定建設工事共同企業体)でも、前同工事と同じステップを経 て市道登美ヶ丘鹿畑線を跨ぐ構造となる学研奈良登美ヶ丘駅部の高架橋を全長約200mに亘って築造。工事期 間中は、騒音・振動・防塵対策に全力を傾けた。 精鋭施工陣が、環境保全と安全に留意しながら夢を繋いでいき、学研都市と大阪湾ベイエリアを結ぶ近鉄け いはんな線が直結。くらしの動脈として地域の発展に寄与する期待の新線には、各社が保有する高度な技術 力が息づいている。