大阪府では、建設工事での入札に関して、来年度から総合評価方式と希望価格を導入する方針を固めた。現在 開会中の府議会2月定例会の一般質問での質疑で明らかになったもの。総合評価方式は品確法の施行に伴うも ので、また希望価格は予定価格に対し一定の割合で減額した価格を設定して事前公表する。府契約局では、 「発注部局と検討しながら来年度から試行的に導入したい」としている。 《2月府議会で府が意向表明》 総合評価方式は8日に民主党の花谷充府議が、希望価格については自民党の杉本光伸府議が9日の定例会で質 問した。総合評価方式の導入について花谷府議は、府内中小業者の技術力向上と健全育成に寄与するような、 「大阪らしい」ものを知恵を絞り導入すべき―と質問。これに対し阪倉嘉一・建築都市部長は、「技術力のあ る業者の選定は品質確保だけでなく、不良・不適格業者の排除にも有効」との認識を示し、評価方式はじめ検 討課題も多いとしながら、契約局や発注部局と協議し、「これまで実施してきた受注者の実績や技術力を評価 する入札方式も活用して大阪らしい方式を検討する」とし、2006年度に試行実施できるよう検討を進めていく とした。 《2006年度の実施へ検討進める、総合評価は大阪らしい方式を》 試行時期や対象工事について契約局では、今後の発注予定工事から案件を抽出し、総合評価方式案件の選出 と、選出に係る選出機関メンバー、さらに評価機関のメンバー選出、落札者決定基準の策定などを行い、「来 年度内に試行できるよう見当する」としている。 また、希望価格については、昨年の決算特別委員会での杉本府議の質問に対して契約局が「検討する」と答弁 したことから、その後の検討状況を質したもので、府では、藤原安次出納長を委員長とする「大阪府入札契約 制度改善検討委員会」で検討を進めきた。答弁で藤原出納長は、「逼迫した府の財政状況では、落札額を下げ ることは経費節減を図るうえでも有意義」とし、希望価格の設定は、落札率の高止まりを防ぐ方策としても効 果があるーとの見解を示し、具体的な方針を定めながら、「大規模工事について来年度草々に導入できるよう 必要な手続きを進めていく」との意向を明らかにしたもの。 《希望価格、経費節減がねらい》 希望価格導入の背景には、入札での高落札率問題がある。杉本府議は昨年、04年度に土木部で発注したAAラ ンク(13億5千万円以上)の12件の入札では全ての落札率が97%を超えるものとなった上、入札参加業者31社 が全社受注したため、「談合の疑いあり」と指摘。このため、入札の透明性の確保と落札率を引き下げ経費節 減の意味あいからも希望価格の導入についての検討を求めていたもの。杉本府議は、先の12件の工事費が約 500億円であり、仮にこの落札価格を5%引き下げた場合、約25億円の削減が可能―としている。 府では契約局を中心に具体的な作業を進めることとしているが、契約局では大規模工事での試行を念頭に、 「希望価格の設定基準や対象となる工事工種の選定などについて発注部局と調整する」としている。また、検 討委員会では試行導入時期の検討に加え、「希望価格を上回った場合の扱いについても検討を加えたい」とし ている。