東海地震や東南海・南海地震などの大規模な地震に備えた「改正耐震改修促進法」(建築物の耐震改修の促進 に関する法律)が1月26日に施行され、国が今後10年間で住宅や特定建築物の耐震化率を現状の75%から90% に引き上げることなどを柱にした基本方針を示した。同方針に基づいて、都道府県に対しても遅くとも1年以 内をメドに耐震改修促進計画を策定するよう求めている。 《10年間で耐震化率90%に 住宅は650万戸、特定建築物は5万棟目標に改修》 2003年の統計調査によると、わが国の住宅総数約4,700万戸のうち25%に当たる約1,150万戸、また、特定建築 物(病院、百貨店、事務所、老人ホームなど、3階建て以上、延べ面積1,000?以上)の約36万棟のうち約9 万棟がそれぞれ耐震性不十分と推計されている。 今回、国がまとめた基本方針は、政府の中央防災会議で「地震防災戦略」(2006年3月)が決定され、東海地 震及び東南海・南海地震の被害想定の死者数や経済被害について、今後10年間で半減させるという減災目標に 基づいたもの。 それによると、住宅及び特定建築物の耐震化率について現状の75%を、2015年までの10年間で少なくとも90% に引き上げるという数値目標を設定。また、耐震診断については、耐震化率の目標達成のため、少なくとも住 宅は5年間で約100万戸、10年間で約150万 200万戸、特定建築物は5年間で約3万棟、10年間で約5万棟の 実施が必要としている。 震化率を90%に引き上げるためには、今後、住宅で約650万戸(うち耐震改修は約100万戸)、特定建築物で約 5万棟(同約3万棟)の耐震化が必要とされている。そのためには、現在の耐震改修のペースを2倍 3倍に しなければならない。 国土交通省では、住宅の耐震化について単純計算で年間55万 60万戸が必要であるとしており、現在、実施さ れている年間約40万戸の建て替えペースからすれば実現可能とみている。 《1年以内に都道府県も推進計画策定へ》 今後、1年以内をメドに地方公共団体が策定する耐震改修促進計画の主な内容として(1)耐震化の目標 (2)公共建築物について速やかな耐震診断、結果の公表、整備プログラム策定など(3)耐震診断・改修の 促進を図るための施策(4)避難者などの通行を確保すべき道路(5)建築物の所有者に対する指導などの考 え方(6)地震防災マップ、相談体制の整備など(7)市町村耐震改修促進計画の策定―などを挙げている。 国の耐震化支援制度としては、耐震改修支援センターによる債務保証や情報提供などを実施するほか、平成17 年度予算の20億円から18年度は130億円プラス30億円(2005年度補正)に拡充。耐震診断に国が3分の1補助 (緊急輸送道路沿道建築物の場合は2分の1)、耐震改修に7.6%(同33.3%)割り当てる。 また、耐震改修促進税制を創設し、一定の区域内で耐震改修工事に要した費用の10%相当額(20万円を上限) を所得税から控除。さらには固定資産税を一定期間、2分の1に減額するほか、事業者が行う特定建築物の耐 震改修工事の費用について10%の特別償却を行うとしている。