透明性確保、基準統一図る 神戸市ではこのほど、市有地売却方法に関する基本方針を策定した。市有地処分に係る部局が多岐にわたり、 処分手法も多様となっていることから、売却方式に関する基本的考え方や選択基準の統一的な目安を示したも の。指針策定に併せて、コンペ等での一部手法の見直しも行ったほか、内容審査に係る留意事項も明記してい る。対象は水道局・交通局を含む市の全部局。 《コンペでの手直し法見直しも》 市有地売却にあたっての基本的な考え方では、土地利用制限を設けない一般競争入札を原則とし、まちづくり の観点や政策的な目的により、特定の土地利用を行う場合においては土地利用条件付入札やコンペ方式等を活 用することとした。売却方式と選択基準に関しては、行財政局で集中管理的に実施しているのが郵送型入札を 含む一般競争入札で、土地利用や転売の制限を設けず、金額のみで買受者を決定する基本となる売却方式。特 段の事情がない場合は同方式を選択するとした。優良戸建住宅用地の公募売却は、市民の宅地需要に応えるた め、個人の戸建住宅建設目的に限定し、価格を明示し抽選で決定。一定程度安定的に同方式で供給する。その 他の個別に行う売却方式では、土地利用条件付一般競争入札では、条件を満たす必要はあるが高価格での売却 が期待でき、コンペと比較して応募者への負担が少なく、詳細に計画内容に立ち入る必要がない場合に最適と した。土地利用計画書審査型入札は、市が求める土地利用を実現でき、比較的高価格での売却が可能であり、 適正な審査で透明性も確保できるが、条件設定での工夫が必要となる。 一方、政策的な目的や土地に希少性がある場合にはコンペ方式を採用、その方式として価格固定型コンペと内 容・価格提案型コンペを上げる。価格固定型は、内容を充実させるといったインセンティブが働く反面、高い 売却収入が見込めないため、臨港地区など用途が限定される場合に適用する。内容・価格提案型では従来、価 格点と内容点の合算で最も高い提案を当選としてきたが、内容と価格という相容れないものを点数化するため 審査結果での不透明感が指摘された。このため、提案内容による絞込みを行った後、最終的に価格により決定 する仕組みとすることとした。 これは、応募時に内容提案と価格提案を同時提出とし、内容審査を通過した応募者の価格提案のみを開封、最 高金額を提示した者を当選者とするもの。この場合、最高点を取った応募者と例えば最高点の80%以上の点を 上回った者を通過者としてそれら複数の応募者による価格競争か、内容点第2位の応募者は必ず開封する上位 2者で競争する方式を基本としている。これにより一定以上の内容を確保しながら高価格での売却が可能とな り、透明性の確保もできる。同方式は、入札では政策目的が達することのできない、神戸市の基本計画等で整 備方向が位置づけられている地域の拠点的な大規模用地で、まちづくりへの影響が大きく、質の高い土地利用 と需要による価格競争が見込まれる場合に適用する。また、西神住宅団地や神戸複合産業団地などの住宅団 地・産業団地の処分では、価格競争より宅地供給や産業集積などの政策的目的のため、法律の規定に基づく公 募処分とする。 これら内容審査を伴う売却方式に係る留意事項として、 ?審査基準等の情報開示 ?審査委員会の構成 ?売却基準の履行確保 ?適切な募集期間の設定 ?説明責任の五項目 を上げている。情報開示では、選考方法の事前開示による透明性の確保、審査委員会の議事録や採点結果等の 公開など。審査委員会の構成メンバーは、外部の学識経験者を中心とし、市職員は最小限にとどめることとし た。履行確保では、違約金や買戻し条項等で担保して、契約後の履行管理を適切に行うとともに、応募者の事 業遂行能力を的確に判断し、必要に応じて審査委員会を中心に履行審査委員会を設置するなど、慎重な検討が 必要としている。