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鹿島、打設時のスランプロスと材料分離を同時に解消する「コンクリート運搬・打設システム」を開発

打設時のスランプロスと材料分離を同時に解消する
「コンクリート運搬・打設システム」を開発
  鹿島(社長:押味至一)は、高低差のある場所にコンクリートを運搬する際、硬練り、高粘性のコンクリートでも排出可能な「新型バケット」と、打設時の材料分離を抑制できる扁平形状のホース「OKホース(R)」を開発し、これらの組合せによる新たな「コンクリート運搬・打設システム」を、岩手県で施工中の三陸沿岸道路長部高架橋の橋脚コンクリート工事に試行しました。
  コンクリートのフレッシュ性状が変化せず、材料分離もさせない本システムにより、高耐久なコンクリート構造物を構築することができました。

  

<開発の背景>
  コンクリートの打設場所への運搬は、コンクリートポンプ車による圧送が多く用いられます。しかし高低差がある場所など距離のある圧送では、スランプの低下による圧送管の閉塞などが課題となります。同様にバケットによる搬送においても、硬練りの場合はバケット内でコンクリートが滑り落ちにくいため排出口が閉塞したり、また通常の円形ホースの中で材料分離してしまうなどの課題がありました。これに対し、単位水量や単位セメント量を増加させるなどの配合変更により流動性を上げて対処すると、コンクリートに乾燥収縮ひび割れや温度ひび割れといった初期欠陥を引き起こすおそれがあります。
  さらに、コンクリートの凍害を防止するためにはコンクリート中に一定の空気量を含むことが重要ですが、圧送によりその空気量が減少することで、凍結融解抵抗性が低下する懸念もあります。
  そこで、スランプ8cm程度の硬練りコンクリートでも配合を変えることなく、スムーズに運搬・打設できる、新たなコンクリート運搬・打設システムを開発しました。

<コンクリート運搬・打設システム>
  本システムは、スランプ8cmの硬練りコンクリートを排出できる「新型バケット」と、扁平形状の「OKホース」の組合せにより構成されます。

  

  1.新型バケット
  2.OKホース

<実施工での事例>
  長部高架橋の橋脚を対象として、コンクリート運搬・打設システムによるフレッシュコンクリートの空気量を、コンクリートポンプ車による圧送時と比較しました。コンクリートポンプ車による圧送では空気量が平均0.7%減少したのに対して、本システムでは空気量の減少がほとんど認められず、凍害防止に対する優位性が確認できました。
  その他にも、OKホースについては複数の現場で使用を始めており、コンクリート構造物の品質向上を確認しています。

<今後の展開>
  OKホースは、今回のようにバケットに取り付けるだけでなく、コンクリートポンプ車のブームに取り付けるタイプもあり、地下構造物の構築において、地上から直接、地下のコンクリート打設が可能です。
  今後は、本システムおよびOKホースを、橋梁やボックスカルバートなど各種のコンクリート構造物に水平展開し、適用拡大を図っていきます。

鹿島建設(株)

http://www.kajima.co.jp/

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