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大林組、摩擦型制振装置「ブレーキダンパー」を橋梁分野へ展開

摩擦型制振装置「ブレーキダンパー(R)(http://www.obayashi.co.jp/service_and_technology/related/tech004)」を橋梁分野へ展開
橋梁の構造に合わせた2種類のブレーキダンパーを開発
  株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:白石達)は、建築分野で多数の実績を有している摩擦型制振装置「ブレーキダンパー」を、高速道路トラス橋の耐震補強への適用をはじめとして橋梁分野へも展開します。

  ブレーキダンパーは、自動車のブレーキを応用して、ステンレス板とそれを挟み込むブレーキ材を使用し、摩擦力によりエネルギーを吸収することで、地震時の揺れを抑える制振システムです。仕組みが簡単であることや、高価な部材を使用せず工業製品として量産化の体制ができているため、同等の性能のオイルダンパーなどと比較し、大幅なコスト削減を実現しています。さらに、繰り返しの作動にも損傷がないため、大地震後でも交換の必要がありません。

  大林組は、1990年代後半から開発に着手し、建築物のさまざまな要求性能に応じられるように全4タイプの装置の実用化を重ね、建築分野の新築工事や耐震補強工事で適用実績を伸ばしています。

  

  阪神淡路大震災以降、交通インフラの耐震対策が注視されており、交通ネットワークの要所として道路橋梁についても新設橋梁の耐震性能高度化や既設橋梁の耐震補強が進められています。このような中で、建築分野と同様に、高性能と低コストを両立する「制震構造」は、耐震構造および免震構造に加わる第3の構造として注目されています。

  大林組は、ブレーキダンパーの高性能・低コストという利点を橋梁分野にも活かすため、材料や塗装の工夫により屋外使用に求められる耐久性・耐候性を確保するとともに、大規模構造用に減衰力や可動幅の増大を図り、橋梁の構造に合わせた2種類のブレーキダンパーを開発しました。

  2種類の橋梁用ブレーキダンパーは以下のとおりです。
1.橋梁用ブレーキダンパー

  橋梁下部構造の耐震性向上を目的に、橋桁端部と橋台などの上部構造と下部構造をつなぐように設置して用いる橋梁用ブレーキダンパーを開発しました。地震時に発生する上部構造と下部構造の揺れの違いに対して抵抗することでエネルギーを吸収し、新設・既設を問わず適用できます。

  本ブレーキダンパーは、新設構造物に適用した場合、橋脚構造のスリム化により構築コストを1割削減すると同時に地震による揺れを3割低減します。振動台実験での比較では、ブレーキダンパーを設置しなかった場合に比べて、地震時における最大応答変位を約60%低減でき、橋脚の受ける損傷が小さくなることを確認しました。2012年には、耐久性と設計用モデルの適切性に関して、一般財団法人先端建設技術センターの先端建設技術・技術審査証明を取得しています。

  

2.斜材組み込み型ブレーキダンパー

  既設トラス橋の耐震補強として用いることを目的に、斜材組み込み型ブレーキダンパーを開発しました。本ブレーキダンパーは、東日本高速道路株式会社(本社:東京都千代田区)と既設トラス橋への適用について、その設計法、屋外使用での耐久性・耐候性の確保や、比較的発生頻度の高いレベルI地震動における滑動の抑制手法の確立および維持管理計画などに関する共同研究を重ね、このたび関越自動車道片品川橋の耐震補強工事に52基が採用されることになりました。関越自動車道片品川橋は、群馬県利根郡昭和村と沼田市間に位置した一級河川片品川を横架する橋梁で、橋長1034m、鋼3径間連続トラス橋の長大橋です。

  ブレーキダンパーをトラスの斜材に組み込むことにより、地震時の斜材の変形や座屈を防ぐとともに、橋梁全体の震動を低減する効果があります。従来の鋼材の軸降伏を利用したダンパーと比べ、地震発生時をはじめ日常的な点検の容易さ、ダンパーが稼働する程の大規模地震が発生した場合でも部材交換をせず、正規の位置にダンパーを戻せる修繕性能の高さから適用に至りました。

  

  大林組は、新設橋梁の建設および既設橋梁の耐震補強に向けて、ブレーキダンパーの適用を積極的に提案し、安全・安心のための社会インフラ整備に貢献していきます。

  以上

(株)大林組

http://www.obayashi.co.jp/

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