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清水建設、汚染土壌を分別できる「セシウム汚染土壌濃度分別装置」を開発

セシウム汚染土壌を高濃度汚染土壌と低濃度汚染土壌に分別
~中間貯蔵施設向けに分別装置を開発~
  清水建設(株)<社長  宮本洋一>はこのほど富士電機(株)と共同で、中間貯蔵施設へのセシウム汚染土壌受け入れ時に使用する設備として、シンプルな機構で設定した濃度に基づき汚染土壌を分別できる「セシウム汚染土壌濃度分別装置」を開発しました。3月末から福島県大熊町で実施している本装置の実証実験において、所定の分別性能を確認しています。

  中間貯蔵施設には、遮水構造を備えたII型、遮水構造がないI型と呼ばれる貯蔵施設が併設されます。II型には8,000Bq/kg(ベクレル)超の高濃度汚染土壌、I型にはそれ以下の低濃度汚染土壌が投入されます。土壌の分別作業時には計測誤差が生じることから、分別設定値を8,000Bq/kgより低い安全サイドに設定することが予想されます。ただ、そうすると、II型への投入量が増え建設費の増大を招く結果となることから、極力分別設定値を下げないことが望まれます。

  土壌の含有放射能量の測定では、測定対象土砂の質量と塊の形状を一定に保つ必要があります。理由は、汚染濃度の単位「Bq/kg」が1kgの物質の含有放射能量を意味し、かつ土壌はそれ自体に放射能遮蔽効果があることから形状によって測定数値が異なってくるためです。これまでに提案されている分別装置は、こうして生じる計測誤差を排除できず過大・過小評価が懸念されていたことから、分別設定値を4,000Bq/kg程度に設定せざるを得ない状況にあります。

  そこで当社は、各種汚染土壌の浄化工事や除染工事で培った土壌の取り扱いノウハウなどをベースに、シンプルな機構で優れた分別性能を発揮する装置を開発しました。この装置は、ベルトコンベア上に構築され、上流側から順に、汚染土壌を一塊(0.1~0.3m3)のユニットにしてベルトコンベアに供給するフィーダー、ユニットの土壌重量計測器、ユニットの幅を一定に保つライン両脇の仕切り板、ユニットの層厚を15cm程度に均すレベリング・ローラー、層厚(断面形状)測定機、放射線測定機、設定値に基づきユニットの投入先を切り替えるダンパーで構成されます。放射線測定機は、外部線量の影響を受けないようにラインを遮蔽する鉛製フードの中に設置します。

  この装置を採用すると、ユニットの重量を±1%以内で把握できるとともに、仕切り板とレベリング・ローラーによって土壌性状にかかわらずユニットの形状を一定に保つことができ、かつ形状を測定機で確認できるので、放射能量の計測誤差が非常に小さくなります。装置の処理能力は、1ラインあたり30~100m3/時間を想定しています。

  大熊町での実証実験を通じ、本装置の計測誤差は20%以下となることを確認しています。このため、装置の分別設定値を6,400Bq/kgに設定でき、競合する分別装置に比べてII型貯蔵施設への投入量を30%程度抑制できる見込みです。

  なお、今回の実証実験では、分別の前工程となる除去物質入り土のう袋の破袋を新開発の「ウォータージェット破袋システム」で実施しています。
以  上

  

清水建設(株)

http://www.shimz.co.jp/

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