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清水建設、超高層ビルの解体・改修工事向けにアスベスト除去工法を開発

超高層ビルの解体・改修工事向けに、アスベスト除去工法を開発
~化学処理して、らくらく除去~
  清水建設(株)<社長  宮本洋一>はこのほど、超高層ビル解体・改修工事の受注をターゲットに、鉄骨の柱・梁に固着しているアスベストの表面から高圧有機酸を吹き付けることで、アスベストを手軽に除去できる工法「アストリサン」を開発しました。この工法による除去作業は、有機酸を噴射する専用ガンによりアスベストを切り取っていくという感じで進みます。

  超高層ビルの鉄骨柱・梁に吹き付けられたアスベストは、地震時に柱・梁が大きく変形しても剥離しないように、しっかり固着しています。接着力が強い理由は、アスベストを含む吹付材の中にセメントが多く混入されているためです。吹付材は、セメント塊と同程度に固くなって柱・梁に固着しているため、これまでは、作業員が先端にヘラのついたケレン棒や電動チッパーを用いて物理的にアスベストを剥ぎ取り、鋼製タワシで鉄骨表面を磨いて残りのアスベストを除去していました。

  従来のアスベスト除去工法は、重労働で騒音を伴うことや、煩雑な粉じんの飛散防止対策等が必要で非生産的なこと、その一方で超高層ビルの解体工事の増加が予想されることから、作業負荷と環境負荷を軽減する新たな除去工法の開発が求められていました。そこで当社は、アスベストの吹付材に含まれるセメントを化学的に脆弱化させ、手軽に除去できる工法開発に取り組み、アスベスト固着を模擬した実大の鉄骨梁を使った実験を経て効果を実証しました。

  アストリサン工法の特長は、食品添加物や医薬品材料に用いられる酒石酸という無害の有機酸とセメントのアルカリ分とを反応させ、セメントを脆弱化させることです。除去作業に用いる設備は、通常の塗装工事に用いる市販のエアレスポンプと高圧ホース、20MPaの高圧有機酸を吹き付ける新開発の専用ガンです。

  作業手順は、まず、エアレスポンプから供給される高圧有機酸を専用ガンでアスベスト吹付材の表面に至近距離から噴射しながら、10cm角程度のグリッドを描いていきます。すると吹付材に切れ目が入るとともに、吹付材と鉄骨の接着界面に有機酸が浸潤し吹付材に吸収されます。これにより、吹付材の接着力が弱まり、あとは切れ目に沿って手のひら大のヘラを接着界面に軽く差し込みめくるだけで、吹付材が10cm角のサイコロ状の塊になって剥離していきます。仕上げに、吹付材剥離後の鉄骨に再び専用ガンで高圧有機酸を吹き付けると、完全にアスベストを除去できます。なお、有機酸の使用量は15リットル/m2程度です。有機酸はすべてアスベスト吹付材に吸収されるので、液体状の廃棄物が発生することはありません。

  本システムのメリットは、粉じんの飛散量が極めて少なく環境にやさしいこと、騒音・振動を大幅に低減できること、剥離したアスベスト吹付材の回収が容易なことです。吹付材の除去・回収効率が高く、かつ作業計画が柔軟に行えることから、アスベスト除去費用を従来工法に比べて2割程度削減できる見込みです。

以上
≪参考≫

  

清水建設(株)

http://www.shimz.co.jp/

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