[特別企画2012]
主要上場建設会社53社
「10年間の業績動向」調査
~売上高トップは清水建設地方ゼネコンの健闘目立つ~
10年間の純利益合計は4,889億円の赤字
「10年ひと区切り」という言葉があるが、10年間の主要企業の業績推移で業界の大きな動きが見えてくる。建設業界の主要上場53社の2011年3月期の売上高合計は2002年3月期より約3割落ち込み、10年間の純利益の合計は4,889億円の赤字だった。建設市場は公共投資の削減や民需低迷の煽りで、大きく縮小しており、主要上場53社は赤字で株主資本を食い潰して凌ぐ姿が浮き彫りになった。
●調査基準
本調査は3月期を本決算とする主要な上場建設会社53社を対象に、直近10年間(2002年3月期~2011年3月期)を各期ごとに単体の売上高、経常利益、当期純利益を単純合算し、数値を分析した。自己資本比率は53社の純資産合計を総資産合計で除して算出した。10年の対象期間中に会社分割した場合、旧会社の業績を合算した。10年の間に合併した場合、合併前の業績は存続会社と非存続会社を単純合算した。なお、3つの会社を再編したナカノフドー建設と不動テトラなど、業績を単純合算できない場合、今回の調査対象から除外した。
[1]売上高10年で32.9%減
主要上場53社の2011年3月期の売上高合計は9兆4,921億5,700万円で、2002年同期(14兆1,561億9,500万円)より32.9%(4兆6,640億3,800万円)減少した。
53社の売上高合計は、2002年から2004年にかけて金融機関の不良債権処理で大きく落ち込んだ。
その後、2006年からの“ミニバブル”に乗り回復の兆しをみせたが、リーマン・ショックを経た2009年3月期以降、再び減少に転じている。
建設投資(政府投資・民間投資合計)は、2001年度(61兆2,875億円)から2010年度(41兆1,300億円)にかけて32.8%減少。主要建設53社の売上高合計の減少率と一致している。主要上場53社は採算重視にシフトし、選別受注の傾向を強めているが、市場縮小をカバーするのは難しく、政府や民間建設投資の落ち込みを反映した結果になっている。
・53社10年間の売上合計推移
・10年間の売上高推移
・10年間の建設投資推移
[2]経常利益一定額を確保
53社の経常利益の合計は、2011年3月期は1,899億5,600万円で、2002年3月期(2,500億6,000万円)と比べ10年で24.0%減少した。売上高は10年で32.9%減少したが、コスト削減への取り組みが奏功し、経常利益は10年間毎年黒字を維持している。各年ごとの経常利益合計をみると、ピークはミニバブルの2006年同期(3,714億1,000万円)で、リーマン・ショック以降は急激に落ち込んだ。
2011年同期は売上高合計が前年比12.9%減少に対し、経常利益合計は同57.3%増と5年ぶりに増加に転じリストラ効果が出た格好となった。
[3]10年間の当期純利益4,889億円の赤字
53社の10年間の当期純利益を合計すると、4,889億400万円の赤字だった。この10年間は純資産を大きく食い潰して凌ぐ苦境を浮き彫りにしている。10年間の当期純利益の推移を見ると、2002年及び2003年同期の不良債権処理の損失が合計額を押し下げている。ゼネコン不況やバブル期の不良債権処理損失による赤字が、この10年間では穴埋めできていないことを裏付けた。
・経常利益推移
・当期純利益推移
・10年間の利益推移
[4]10年間の財務状況外部資本導入で自己資本比率は改善
53社の10年間の当期純利益合計は、4,889億400万円の赤字と株主資本を食い潰した。だが、各社の決算書における純資産合計をみると、2002年3月期は2兆6,565億1,300万円だったが、2011年同期は2兆7,165億6,800万円と2.2%増加している。当初の株主資本を赤字で食い潰しながら、債務免除や第三者割当増資、DES(債務の株式化)など、上場建設会社の様々な救済策による資本的支援を受けたことによる。
一方、総資産の合計は、2002年同期の17兆2,490億9,500万円から、2011年同期は10兆1,576億200万円と41.1%減少した。この10年間で保有資産の整理・売却を進め、スリムな財務体質を築く努力が行われてきたことがわかる。このため、総資産を分母、純資産を分子にした自己資本比率は2002年同期15.4%から、2011年同期26.7%と11.3ポイント改善。主要上場建設53社の収益は低迷しているものの、独自の経営改善策と金融機関の支援策が効果を見せ、財務体質は改善している。
・10年間の財務状況
[5]10年間の売上高合計トップは清水建設 財務健全は前田道路
主要上場建設53社の売上高、経常利益、当期純利益の10年間の合計額上位20社をみると、売上高トップは、清水建設(13兆5,230億1,700万円)だった。次いで、2位は鹿島建設、3位は大成建設、4位は大林組とスーパーゼネコンが上位を占めた。本業の利益を表す経常利益のトップは、大成建設。次いで、2位が長谷工コーポレーション、3位は清水建設となった。最終利益となる当期純利益のトップは、清水建設。次いで、2位は前田道路、3位は大成建設で、海外工事で多額の損失を計上した大林組は11位、鹿島建設は13位だった。
財務の健全性を示す自己資本比率のトップは、前田道路(64.8%)。次いで、2位は鉄道工事を得意とする第一建設工業、3位は法面・地盤改良工事を得意とするライト工業。ベスト20位をみると、道路、鉄道工事などインフラ系を扱う建設業者が多くを占める。また、第一建設工業、植木組、(各新潟県)、大本組(岡山県)、北野建設、守谷商会(各長野県)など、地方に本社を置く建設会社が高い安定性をみせるなど手堅い経営ぶりが目立った。
・売上高合計 上位20社
・経常利益合計 上位20社
・当期純利益合計 上位20社
・自己資本比率 上位20社 (株)東京商工リサーチ
http://www.tsr-net.co.jp/
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