地元見学会を開催 神戸市が建設を進めている「大容量送水管整備事業」のうち、石屋川立坑か ら住吉川立坑間のシールドトンネルが、このほど貫通した。災害に強い水道 づくりを目指し、市街地を通る耐震性の高い送水幹線を整備するもので、貫 通した区間は「石屋川工区」として2004年から工事がおこなわれていたも の。なお、8日には地元住民を対象としたシールド見学会が開催された。 この事業は、第一期計画として芦屋市境から奥平野浄水場(奥平野工区)ま での延長12.8?に、口径(直径)2.4mの送水管を整備するもので、このうち 芦屋市境から住吉川立坑までの延長3.8?については2002年度に完成してお り、残る9?の区間を、石屋川工区、王子工区、布引工区、奥平野工区とし て現在、整備が行われている。 今回、シールドトンネルが貫通した石屋川工区は、石屋川立坑(神戸市東灘 区御影町西平野)から住吉川立坑(同区西岡本2丁目)にいたる延長約1.65 ?の区間。トンネルは、泥土圧シールド工法によりセグメント外径3.35m、 延長1,644.7mを構築。また、立坑は圧入オープンケーソン工法で築造。シー ルド機は、直径3,480?、長さ5,710?で、昨年11月に掘進を開始し、約1,100 mの地点で地山に合わせカッタービットを交換しながら、今年9月26日に住 吉川立坑に到達したもの。今後は、2次覆工として、水道管本管1,646.8mの 据付工事などが行われる。
8日の見学会には、家族連れや親子ら約130人が参加。初めに水道局奥平野浄水管理・工事事務所の三浦久人 所長が、同事業の目的などを説明しながら、「工事はまだ続くが理解と協力をお願いする」とし、見学会の 成果に期待を寄せた。見学会では、水道局職員の案内により、給水所の下に構築されている外径12.7m、深 さ27.7mの立坑に入り、普段では見ることの出来ない、到達したシールド機前面を見学し、それぞれビデオ やカメラで記念撮影を楽しんでいた。また、神戸市消防局の協力により、送水管を使った放水や災害時の応 急給水の実演なども行われた。 このほかの送水管整備事業では、布引工区で布引立坑から王子立坑間の約1.5?が9月13日に貫通、王子立坑 から石屋川立坑の王子工区も5月に貫通しており、それぞれ2時覆工工事が進められている。また、布引立 坑から奥平野立坑までの奥平野工区では、全国でも初めてとなる「大深度地下使用法」の適用を受け、年内 にも発注が予定されている。これら住吉川立坑から奥平野浄水場の区間については、厚生労働省の補助事業 (緊急時給水拠点確保等事業)に採択されている。 大容量送水管整備事業は、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて策定された「神戸市水道施設耐震化基本計 画」に基づき、当初の山岳トンネル計画を見直して、市街地を通る計画としたもの。通常の送水能力の強化 とともに、既設送水トンネルの被災時や管更正時のバックアップ機能を有し、立坑は災害時に管内の貯留機 能を利用して、応急給水などの防災活動拠点となる。