濱口梧陵記念館と津波防災教育センターで構成、施工は戸田建設 和歌山県と広川町が共同で整備を進めていた「濱口梧陵記念館」と「津波防災教育センター」の2つの施設 からなる「稲むらの火の館」がこのほど、濱口梧陵のゆかりの地である広川町にオープンした。前者は濱口 梧陵を顕彰し、その偉業と生涯を紹介する記念館として、また後者は津波防災に特化した全国にも例を見な い防災学習施設として建設されたもの。 和歌山県有田郡広川町大字広671に位置する建物は、濱口梧陵記念館がW造平家建て延べ509.58?、津波防災 教育センターがRC造3階建て延べ1,190.11?となっている。施工は戸田建設(株)が担当した。 濱口梧陵は、安政元年(1854年)の地震津波の際、稲むらに火を放ち、村人を安全な高台に避難誘導させ た。その後、地震と津波で壊滅的な被害を受けた村と村人を救うため、私財を投じて長さ600m、高さ5mの 堤防を築く工事を実施し、村人を雇用して村の復興に大きく貢献した。こうして完成した広村堤防は、昭和 21年(1946年)に発生した昭和の南海地震の際には有効に機能し、津波による被害を最小限に食い止めた。 これらの梧陵の功績をもとにした「稲むらの火」の話は戦前の教科書に紹介されたのをはじめ、現代に通じ る津波防災対策の象徴として広く語り継がれている。濱口梧陵記念館は、梧陵の旧宅跡にあった数寄屋造り の日本家屋を活用した館内にゆかりの品々を展示し、その偉大な功績と生涯を紹介したもの。 一方、津波防災教育センターは、地震や津波の恐ろしさを中心に災害に対する備えを学習・啓発する拠点施 設として、最新の技術を駆使した映像や実験装置により、津波を体感的に学習することができる。 具体的な施設内容は、1階が幅7.5m、高さ2.5mの大型スクリーンを設置した座席数50席の3D津波映像シ アター、津波シミュレーションや防災知識を学ぶゾーンの防災体験室、二階が津波ライブラリー、稲むらの 火展示室、3階がガイダンスルーム、企画展示室となっている。 また、同センターは災害時の地域防災拠点施設(内閣府の地域防災拠点施設整備モデル事業の適用施設)と しての役割も果たし、3階には一時避難場所や備蓄倉庫も設置されている。 稲むらの火の館の開館時間は10時から17時まで。休館日は月曜・火曜(祝日は開館)及び年末年始。入館料 は一般500円、高校生200円、小・中学生100円(学校の教育活動の場合、小・中学生は半額)。