施工体制確認型の適用範囲拡大など 近畿地方整備局と近畿各府県の建設業協会との懇談会が8日、大阪市中央区の KKRホテル大阪で開かれた。懇談会には、近畿整備局側から布村明彦局長ほ か副局長と担当の各部長、協会側から会長・副会長ら計48人が出席。この中 で、社大阪建設業協会の淺沼健一会長は、「事前公表は低入札を誘導しやす い」との見解を改めて強調し、「自治体の予定価格の事前公表は廃止するよう 国に指導してほしい」と要望した。また、国が実施している総合評価方式の施 工体制確認型について、現在2億円以上としている適用範囲拡大も話し合われ るなど、今年もダンピング防止が大きな焦点になった。
さらに懇談会では、大臣官房技術調査課の野田徹建設コスト管理企画室長と総合政策局建設業課の福島直樹入 札制度企画指導室長を招き、建設業を取り巻く最近の動向などについて報告された。 懇談会は2001年から近畿整備局の呼びかけで開催しているもので、今回が6回目。冒頭、まず布村局長があい さつに立ち、公共投資の減少など建設業界の厳しい現状にふれながら、「建設業は、いま激動の時代を迎えて いる。社会や人の暮らしを支えている建設産業のよりよい姿を目指し、内容のある意見を聞かせてほしい」と 語った。 引き続いて協会側を代表して、大阪建設業協会(幹事)の淺沼会長が、「日本の財政状況が厳しい中で、地方 は大変な問題に直面している」と語った上、「政府の美しい国・日本、心の和むふるさとの実現は、国と私た ちがいっしょに考えていくことだと思う。地方を支えているのは、我々建設産業だという自負を持っている」 と述べた。 こうした中、「入札制度改革には1番心配している」と語り、昨年12月8日に国土交通省が通達した「緊急公 共工事品質確保対策」によって、「今年1月以降、ダンピングが全国的に沈静化してきた」としながらも、 「一般競争入札の拡大は、総合評価方式とセットでお願いしたい」述べ、各自治体が行っている予定価格の事 前公表についても、「低入札を招きやすい。危惧している」と懸念を示した。建設産業の使命としては、「コ ンプライアンス(法令順守)の徹底で国民の信頼を守ること、品質のよい生産物をつくることーこの二つを核 に、ぜひ明る将来と希望の持てる建設産業の道筋をつくりあげていきたい」と語った。 今回、提案された大きな議題は ?総合評価方式の拡充とダンピング対策並びに不良・不適格業者の排除について ?経営事項審査制度について ?適正価格の採用と片務性の解消についての3件。 緊急公共工事品質確保対策の中では、頻発するダンピング防止対策として「施工体制の確認を行う方式の試行 実施」「特別重点調査の試行実施」「予定価格の的確な見直し」など6項目が追加された。 懇談会でも、この施工体制確認型について、国が現在2億円以上を対象としている適用範囲を「2億円以下も 対象にしてほしい」と要望が出され、これに対して近畿整備局は「施工調整会議の中で検討する」と報告。ま た、自治体などが実施している「予定価格の事前公表」について、「国の方で廃止の指導をしてほしい」との 要望について、「自治法により、ただちに廃止はできないが、総合評価を推進する中で解決していきたい」と 回答した。さらには、適正な設計積算について、最新の取引実績を積算基準へ反映するための特別調査の実 施、虚偽申請の排除、ペーパーカンパニーなどが有利に働く経営事項の審査見直しなどについて活発な意見交 換が行われた。 本省から出席した大臣官房技術調査課の野田建設コスト管理企画室長は、緊急公共工事品質 確保対策の概要のほか、宍戸駿太郎氏(国際大学・筑波大学名誉教授)による「政府は公共投資を復活させ よ」、財経済調査会による緊急レポート第3弾「公共工事コストの真相に迫る」を紹介し、公共投資の必要性 を訴えた。総合政策局建設業課の福島入札制度企画室長は、入札・契約制度関係について改めて詳しく解説し た。