耐震化率9割を目指して 近年では、大規模地震などの自然災害に対する備えは急務なものとなってきている。そ れは豊で快適な暮らしを実現する上においても重要な課題となってきており、安全で安 心なまちづくりの形成が求められている。 大阪府住宅まちづくり部では、府営住宅の建設や府有施設の整備にあたり、耐震化向上 を目指した各種の施策を推進しているが、それらの取り組み状況や今後の見通しなどに ついて、戸田晴久部長に聞いた。 (編集部 渡辺真也)
【写真】戸田晴久部長 〜〜〜〜 構造計算適合性判定機関の指定へ 〜〜〜〜
――今年度の主な取り組みの経過を。 「選択と集中の議論の中で一番急がれるのは安全と安心で、特に安全については昨年12月、住宅・建築物 耐震化10ヵ年戦略プランをまとめました。この中では府民の生命と財産を守ることを基本に、平成27年度 の耐震化率の目標を9割と設定し、市町村及び建築関係団体等と連携して、計画に基づくさまざまな施策を展 開していくこととしています」
――府有施設の耐震化もある。 「そうですね、府立高校をはじめとした府有建築物につきましても、災害発生時の役割や建物の耐震性能な どを勘案し、耐震化の目標や耐震化の進め方などを定めた耐震化実施方針を年度内に策定するよう作業を進め ています」 ――耐震改修は建替えか補強かになる。 「府有財産の有効活用の観点から、長期的な活用を図る建築物については、耐震改修し、老朽化や機能面等 から長期的活用が難しい建築物については、複数施設の合築・集約化の検討を行い、建替え等を推進するな ど、計画的・効率的に耐震化を進めていきます」 ――府営住宅の建て替えもあります。 「府営住宅についてはストック総合活用計画を現在見直し中であり、年度内に公表できるよう作業を進めて います。社会情勢の変化を踏まえ、建替えや耐震改修、高齢者向け改善等を適切に選択し、耐震化やバリアフ リー化を進めていくよう計画に盛り込む予定です」
――府営住宅の建替え整備ではPFI手法を活用されておりますが。 「民活プロジェクト事業として実施しており、今後もPFI手法等を活用しながら活用用地の処分も含めや っていきます。ただPFIの場合、手続きに時間がかかるというネックがありますね」 ――来年度予算や事業の見通しでは。 「予算に関しては、再生予算枠の重点テーマの一つに耐震化の促進が位置づけられています。戦略プランに 基づき民間住宅の耐震化を進めていくために、再生予算枠の活用も視野に入れながら効果的に事業を進めてい きたいですね。また、府有建築物の耐震化につきましても、限られた財源の中で耐震化の優先順位を適切に見 極めながら計画的に進めていかなければなりません」 ――ところで来年度からは建築確認での構造計算適合性判定がスタートしますが。 「法的には都道府県知事の実施、あるいは知事が指定する構造計算適合性判定機関での実施となりますが、 府では判定機関を指定する方向で調整中です。来年4月頃に判定機関の指定を行い、6月の法施行後からの構 造計算適合性判定のスタートに向け準備を進めております」 ――指定機関の立上げの見通しは。 「大阪府では年間5、000件くらいの判定件数が出てくると見込んで機関と調整していますが、判定員の 確保等、建築関係団体の協力を得ながら、指定に向け取り組んでいます」 ――指定機関となる団体は。 「法改正の趣旨からすると、判定業務の公正な実施に支障を及ぼすことがないよう、設計者や建築確認を行 った者から独立した第三者機関において厳格に実施される必要があると考えています。このことから本府で は、公正中立を確保した営利を目的としない公益法人を指定する方向で調整を進めているところです」