携帯端末であらゆる情報提供 オープニングに藤本局長や柿本知事ら出席 近未来型の社会資本整備として注目を集めている「自律移動支援プロジェクト 実証実験」が、奈良県でもスタートした。同プロジェクトは国土交通省が研究 開発を行っているYRPユビキタス・ネットワーキング研究所と進めている画 期的なシステムで、情報通信技術やIT技術などのいろんな新技術を融合させ 一つの携帯端末で、一般市民はもちろんのこと、身体障害者の人たちや外国人 に対しても、移動経路、場所情報、観光案内、交通手段を教えてくれるという もの。
※写真:テープカットする関係者。中央が柿本知事、左から2人目が藤本局長 奈良での実証実験では開始に先立ち7日、奈良公園に奈良県の柿本善也知事、国土交通省の日野康臣政策統括 官、近畿地方整備局の藤本貴也局長ら、また、同研究所の坂村健代表(東京大学大学院情報学環・学際情報学 府教授)ら関係者が出席して、華やかにオープニングセレモニーを行った。 冒頭、奈良県の柿本知事があいさつに立ち、「観光資源がたくさんある奈良県にとっては、これまでガイドブ ックを用意するのが大変だった。このガイドブックを持ち歩くことなく、一つのデジタルで中味の濃い情報を 得ることが可能になり、利便性の面でも奈良は大きく変わる。2010年の平城遷都記念事業に向けて、低コスト で実現できれるようさらに技術の向上を図ってほしい」とプロジェクトに大きな期待を寄せた。 引き続いて近畿地方整備局の藤本局長が「2004年度から神戸でプレ実証実験を開始して以来、いまプロジェク トが動いているのは、全国で八カ所。このうち近畿では、神戸、奈良、堺、和歌山と計四カ所を占め、近畿発 のプロジェクトとしてチャレンジしている。歴史ある奈良で行われるのは、非常に有意義だ」、また、国交省 の日野政策統括官も「社会インフラ整備の革新につながるもの。最新のユビキタスであり、4年後の平城遷都 記念事業で、皆さんが人の手を借りずに自由に歩けるようになれば…」と プロジェクト実現に思いを馳せた。 プロジェクトの概要については、研究開発を進めている東京大学の坂村教授がスライドを使って詳しく解説。 この中で坂村教授は「自律移動支援はソフトインフラ、道路整備と同じ。障害者支援だけのプロジェクトでは なく、情報コンテンツは利用者とともにつくっている。何に使ってもらってもいい。世界に類をみない通信情 報であり、世界からはいま多くの関心が寄せられている」と述べた。この後、関係者が紅白のテープにハサミ を入れ、実際、同プロジェクトが目指す姿をイメージしたデモンストレーションを行った。 奈良での実証実験は一般市民も体験可能で、10月から11月にかけての土・日・祝日に実施。近鉄奈良駅または 奈良市役所駐車場で実験に使用する携帯端末の操作説明を聞いた上、東大寺までの実験エリアを歩き、ルート 案内や観光地・店舗・トイレ・休憩所などの情報提供を体験する。