公共工事の品質確保の促進に関する法律(公共工事品確法)が平成17年4月1日に施行された。今年から本格 的な運用が期待されている。同法は、国、府県、市町村など公共団体の発注者が技術力を身につけて、「技術 と経営に優れた会社、安心して仕事を任せられる会社」である優良な企業を選ぶようにしなければ建設業界全 体が良い方向へ向かわないという趣旨に基づいて施行されたもの。その主なポイントをみてみると――。 公共工事品確法では、まず、「発注者の責務」と「受注者の責務」が明確にされた。発注者は発注関係事務 (仕様書・設計書の作成、予定価格の作成、入札・契約方法の選択、契約の相手方の決定、工事の監督・検 査、工事中及び完成時の施工状況の確認・評価など)を適切に実施し、施工状況の評価などの資料が有効に活 用されるよう保存、または必要な職員の配置などに努力するよう求めている。一方、受注者も基本理念にのっ とり、契約された公共工事を適正に実施するとともに、必要な技術的能力の向上に努めなければならない。 品質を確保するための発注手続きについて発注者は、 (1)競争参加者の技術的能力(工事の経験、施工状況の評価、配置予定技術者の経験など)を審査すること (2)競争参加者から技術提案を求めるよう努力(工事の内容からみて必要がない場合は除外)し、これを適 切に審査・評価しなければ ならない。この際、公正性・透明性を確保するよう努力すること (3)技術提案についての改善を求め、または改善を提案する機会を与えることが可能。その過程の概要は公 表すること (4)高度な技術などを含む技術提案を求めたときは、技術提案の審査後に予定価格を定めることが可能。こ の際、学識経験者の意見 を聴取することーなど、具体的に明記。 このほか技術的能力の審査の実施として、「有資格業者名簿作成時の資格審査」(経営事項審査結果、工事実 績、工事成績評定結果などの活用)や「個別工事に際しての技術審査」(建設業者、配置予定技術者の同種・ 類似工事の経験、簡易な施工計画の審査、必要に応じヒアリングの実施)を挙げている。 ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ 国土交通省直轄工事における品質確保促進ガイドライン(平成17年9月30日策定)では、「すべての工事に総 合評価方式を適用することを基本」(適用の必要がない工事を除く)とし、適用に当たっては当該工事の難易 度や工事規模に応じて「高度技術提案型」「標準型」「簡易型」(新規導入)のうち、いずれかの方式を選 択。入札方式は「一般競争入札方式を基本」とし、これまでの7億3千万円以上から2億円以上へ適用範囲を 大幅に拡大する。一般競争入札が困難な場合も、工事規模型競争入札方式によることが原則。 技術提案の審査・評価の実施としては、入札価格が予定価格の制限の範囲内にあるもののうち、評価値の最も 高いものを落札者とする。評価値の算出方法「除算方式」とし、標準点は100点、技術提案に係る加算点の上 限は、「高度技術提案型及び標準型については10点から50点(従前は10点)、簡易型については10点から30点 までが範囲」。高度技術提案型及び標準型の技術提案は、具体的な施工計画、総合的なコストの縮減、工事目 的物の性能・機能の向上、社会的要請への対応に関する事項を挙げている。簡易型の技術提案は、簡易な施工 計画を基本とし、施工計画を主として評価。その他、地理的条件や災害協定などによる地域貢献度の実績など を適宜評価する。(M)